CRMにおけるメルマガの本質とは?
戦略プランナー
北村 健太

“続けてもらう理由”を届ける、CRMメールの設計論
01|CRMにおける“メルマガ”の立ち位置とは?
CRMと聞くと、LINEやMAのようなツール連携やLTVの分析を思い浮かべる方が多いかもしれません。 一方で、もっとも導入しやすく、長く使われてきた手段が「メルマガ=メールマーケティング」です。
とはいえ、CRMにおけるメルマガは「とりあえず定期的に配信しておくもの」ではありません。 それは、ブランドと顧客との間に築く“関係性”を維持・深化させるための、重要な設計要素です。
mtc.では、CRMメールを**「続けてもらう理由を届ける接点」**と定義しています。 そのためには、ただ一方向に情報を届けるだけではなく、顧客の行動や態度の変化に寄り添う設計思想が必要です。
02|CRM施策におけるメルマガの役割3つ
1. 態度変容のスイッチ
初回購入者や会員登録直後のユーザーに対して、なぜこのブランドを選んだのか、その“納得”を後押しする文脈を届ける。
- 例:「購入してくれた方の声」や「この使い方で実感しやすくなるコツ」など
こうした内容は、購入後の「これでよかったのだろうか?」という迷いを解消し、次の行動へ踏み出す安心感を提供します。CRMメールは、ユーザーが能動的に“好きになる”プロセスを補強する役割を果たすのです。
2. 習慣化のリズムづくり
継続利用につながるような「タイミング」と「価値の再確認」を促す内容を設計。
- 例:定期便前のリマインドだけでなく、「使い忘れないようにする習慣化コンテンツ」など
ユーザーにとっては、「そろそろ使うタイミングかな」「こんな活用法もあるのか」という気づきが、商品との接触機会を自然と増やす後押しになります。リズムをつくるという視点が、CRM的なメルマガの中核になります。
3. 離反ユーザーの再接続
配信停止や解約につながる前に、関係性をもう一度設計し直す。
- 例:「今、どうして使わなくなったのか」に寄り添うメールを“再起動のきっかけ”にする
離反を防ぐ手段として、特典を訴求するだけでは不十分です。「離れた理由に対してどれだけ真摯に応えるか」が、再接続を可能にする鍵となります。CRMメールは、過去の接点を再編集する手段とも言えるのです。
03|成功するCRMメルマガの構造設計
CRMで成果が出ているブランドには共通点があります。それは、メールの1本1本が“接点の役割”を担っていることです。
重要なのは「毎週配信」や「開封率」ではなく、**顧客の変化に対応する“文脈の分担”**です。つまり、「誰に」「なぜ」「どのタイミングで」そのメッセージを届けるかの設計がすべてです。
設計のステップ:
- 関係性の定義(例:長く付き合うパートナーか、季節で思い出す存在か)
- 態度変容のフェーズ設計(例:新規・比較・離反)
- 接点分担(メルマガ/LINE/Web/同梱物などの役割明確化
タグや行動ログだけでは不十分
よくある失敗として、「閲覧した商品」や「購入履歴」などのデータをもとにセグメント配信をすることが“CRM”であると捉えてしまうことがあります。
しかし、データは文脈を知るためのヒントでしかありません。 重要なのは、その行動がどういう意味を持っていたのかを読み解き、それに対する応答の形を設計できるかです。
04|メルマガ配信でよくある失敗と改善アプローチ
1. 配信目的が社内都合になっている
- 新商品やキャンペーン告知ばかりで、ユーザーが欲しい情報に接続していない
- 解決策:顧客のフェーズと行動に基づいた“必要性”のある情報を届ける
2. MAツールの自動化に任せきり
- 配信シナリオが形骸化し、半年以上内容が更新されていない
- 解決策:「この内容で本当に態度が変わるか?」をチームでレビューする仕組みを設計する
3. チャネル間の役割分担がない
- メルマガでもLINEでも、同じような告知を配信してしまう
- 解決策:チャネルごとの役割定義を行い、期待する行動を切り分ける
4. 成果指標がクリック率や開封率のみ
- 短期的な数値に振り回されて、顧客との長期的な関係性が構築されない
- 解決策:定着率、F2転換率、離反率改善など“関係性の深まり”に基づいた評価軸を設ける
05|事例紹介|F2転換とCV改善を実現したCRMメルマガ
● F2転換率が2倍超に改善したD2Cブランド
初回購入者への配信設計を再構築し、「効果実感できる体験」を届けたことで、2回目購入率が2倍以上に。
- シナリオ構成:初回購入から7日以内に「使用感の実感をサポートするメール」を配信
- コンテンツ内容:「他の人の声」「実感しやすいタイミング」「続けることの意味」など
→ 事例を見る
● KARTE活用でCVR120%を実現したECサイト
メルマガとWeb接客を連動させることで、顧客の状態に応じた“文脈接客”を実装。CV率を1.2倍に改善。
- 取り組み内容:行動ログに基づき、「今、迷っている層」向けのフォローアップをメールで実施
- 成果:フォーム到達率・商品詳細ページ滞在率が改善し、CVR向上に貢献
→ 事例を見る
06|まとめ:メルマガはCRMの起点であり、継続の要でもある
CRMは「やるべきことが多くて難しい」と思われがちです。ですが、小さく始められるCRMの入り口として、メルマガは最適な手段の一つです。
- 顧客の“態度変容”に応じた情報提供が可能
- リズムをつくることで、継続意欲の自然な醸成ができる
- 配信単体ではなく“全体構造”の中で設計することで効果が倍増する
mtc.では、こうしたCRM全体設計の中で、メルマガをどう活用するかを支援しています。
を一緒に見直してみませんか?
mtc.では「CRM構造診断(メルマガ設計編)」を無料で実施しています。
- 今のメールは誰に、何のために届けているのか?
- 顧客の態度変容に応じた構造になっているか?
配信の“目的”を見直すことで、顧客との関係性を再設計するお手伝いをしています。