2025.07.07
CRM

CRMマーケティングとは?“関係性”から戦略を設計する、これからのマーケティングの考え方

戦略プランナー

北村 健太

戦略プランナー 北村 健太

はじめに|「CRMって、配信の話ですよね?」と思っていませんか?

メールを配信している。LINEも使っている。MAツールも導入した。
――それでも売上は伸び悩み、顧客は離脱していく。
多くの企業が、この“やっているのに成果が出ないCRM”に直面しています。

CRMは単なる手法やツールの話ではありません。
CRMマーケティングとは、顧客との関係をどう築くかを設計する、マーケティング戦略そのものです。

01|CRMマーケティングとは?──配信ではなく、関係の“設計”である

CRMはCustomer Relationship Managementの略。直訳すれば「顧客関係管理」です。

しかし、私たちはCRMを「関係性の設計を仕組み化すること」と再定義しています。

マーケティングが「価値を届ける営み」だとすれば、CRMは「その価値を継続的に感じてもらうための関係づくり」です。

つまりCRMマーケティングとは、「ブランドと顧客の関係性を戦略的に設計し、体験として届け続ける営み」なのです。

02|CRMマーケティングが必要とされる背景

顧客獲得単価の高騰とLTVの重視

新規獲得だけに頼るビジネスは、もはや成り立ちません。
LTV(顧客生涯価値)を最大化する視点が、どの業種でも当たり前になっています。

顧客接点の分散と体験の分断

メール、LINE、SNS、アプリ、店舗…。顧客の接点は増えましたが、それぞれのチャネルが一貫した体験になっていない企業が多いのが実情です。

CRMマーケティングは、こうしたチャネル間の文脈を統合し、一人ひとりの顧客に「つながっている体験」を設計する手法として注目されています。

03|MAとの違いは?マーケティングにおけるCRMの位置づけ

マーケティング領域では、CRMとよく比較されるのがMA(マーケティングオートメーション)です。

MACRM
“伝える”ことに最適化“続ける”ことに最適化
自動化・効率化設計・関係構築
フォーム・メールなどが中心顧客との関係軸が中心

MAは「誰に」「いつ」「何を送るか」を効率化する仕組み。
CRMは、その裏にある「なぜこの人に、いまこれを伝えるのか?」の設計を担う思想です。

04|CRMマーケティングの全体設計:戦略 → 戦術 → 施策

CRMマーケティングは、「打ち手」より前に「設計」が必要です。
mtc.では、以下のような構造で考えることを推奨しています。

【戦略】目的設定と関係の定義

  • 顧客とどういう関係性を築きたいのか?(例:相談相手/ブランド信者/定期購入パートナー)
  • 指標はLTV、継続率、NPSなど「長期関係性」を示す指標にする

【戦術】セグメントとタイミング設計

  • 新規・定着・離脱などフェーズ分け
  • 態度変容・行動ベースでのセグメント設計(例:閲覧頻度/カゴ落ち/レビュー投稿有無)

【施策】配信・接点設計

  • メール、LINE、Web、同梱物など、接点ごとの役割を明確に
  • “届ければ終わり”でなく、“記憶に残る体験”として設計する

05|mtc.が考える「CRMマーケティング」の本質とは

mtc.が支援している多くのクライアントに共通して言えるのは、CRMはやっているが、戦略になっていないという課題です。

  • 顧客を“データ”ではなく“関係”として捉える
  • 施策は点ではなく、線でつながる“体験の流れ”として設計する
  • 関係の定義が社内で共有されていなければ、CRMは機能しない

CRMマーケティングとは、事業と顧客をつなぐ“構造のデザイン” にほかなりません。

06|「やっているつもりCRMマーケティング」のよくある落とし穴

ツール導入で満足している

CRMツールの導入=CRMの実践、ではありません。
「何を目的に、どんな設計で運用するか」がなければ、配信数だけが増えていきます。

配信がKPIになっている

「メールは月○本送っている」「開封率は○%」という報告が続いていないでしょうか?
大切なのは配信“後”の顧客の行動変容です。

07|実践例:構造設計から成果を出したCRMマーケティングのケース

● 化粧品ECでF2転換率が2倍に向上|コミュニケーションの再設計で定着率を改善

「初回購入は多いが、2回目につながらない」。
この課題を抱えていた化粧品ECブランドに対し、mtc.では「初回体験〜2回目購入までの文脈設計」を支援しました。

  • 顧客インサイトの仮説整理
  • 初回購入後7日以内のシナリオコミュニケーションを再構築
  • メール・同梱物・LINEの役割を整理し、“連携設計”を実装

結果、F2転換率(2回目購入率)が短期間で2倍超に改善
CRM=“継続したいと思える関係を、あらかじめ設計すること”という思想のもと、ブランドと顧客との間に持続的なつながりを築くことに成功しました。

事例記事を読む

● Web接客の精度を高めてCVRが1.2倍に|KARTE活用を軸とした文脈対応の強化

ユーザーごとにニーズが異なる中で、「接客を自動化したが成果が出ない」というECサイトに対し、mtc.ではKARTE導入〜運用体制までを支援。

  • 配信チャネルと文脈を接続する接客シナリオの設計
  • カスタマージャーニーに応じたポップアップ・導線調整
  • 現場で運用できるKPI/分析体制の整備

結果、CVRが約1.2倍(=120%)に改善。ツールは目的ではなく「関係設計を実現する手段」であることを改めて実証する形となりました。

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08|まとめ:CRMマーケティングとは、“これから”の関係を設計すること

マーケティングは「価値を届けること」。
CRMマーケティングは、それを続けてもらうための関係性を仕組み化することです。

  • 誰に
  • どんな関係を築きたいのか
  • どのように体験として届けるのか

これを、戦略→戦術→施策に落とし込み、社内で“回る仕組み”にすることが、CRMマーケティングの本質です。

「うちのCRMは、マーケティング戦略と接続しているか?」を診断してみませんか?

mtc.では「CRMの構造診断」を無料で実施しています。
目的・セグメント設計・体験設計などの視点から、今のCRMが“関係構築の仕組み”として機能しているかを整理し、改善の第一歩をご提案します。

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