2024.07.11
CRM

CRMとは|プロが考える定義とはじめ方・成功事例をわかりやすく解説

CEO

岡崎 徹

CEO 岡崎 徹

CRMとは「顧客関係管理」のことをいい、顧客との関係を維持・向上するという概念です。

現在では「ツール」のことをCRMというケースが増えていますが、本来の意味からするとこれは正しくありません。

また、CRMをおこなううえでツールは必須といわれることがありますが、CRMはツールを導入しなくても実施可能です。そのため、予算が限られている場合でも、すぐにCRMに取り組むことができるのです。

そのためには、CRMの正しい定義を理解し、どのようなことからはじめればいいのかを知る必要があります。
本記事では、CRMの一般的な定義やどのような取り組みなのかについて、詳しく解説しています。また、CRMのはじめ方や成功事例も紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。

CRMで
お困りではありませんか?
  • CRM施策を実施したいが、何から実施していいのかがわからない
  • CRMの戦略はできているが、具体施策に落とし込めない
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もしこれらの課題をお持ちの方がいらっしゃいましたら、大手化粧品会社をはじめ創業から約7年に渡り一貫してCRM支援に携わってきた私たちmtc.にまずは相談してみませんか?

INDEX目次

CRMとは「顧客関係管理」という概念のこと

CRMとは、「customer relationship management」の略で、「顧客関係管理」のことを指します。一般的には、商品やサービスを購入した顧客との関係を、維持・向上することで顧客満足度を高め、リピート・継続してもらうという概念です。

詳細は後述しますが、例えば以下のような取り組みがCRMに該当します。

  • 獲得した見込み客に対して、流入経路別に最適化されたメールを配信する
  • 既存顧客に対して、バースデークーポンを送付する

なお、ツール会社がMA(マーケティングオートメーション)ツールを「CRM」として売り出したことから、現在は顧客関係管理をおこなうためのツールを含めて「CRM」と広く認識されています。

以下のように、weblio辞書でもCRMはツールやアプリとして解説されています。

「CRM」とは、企業が顧客を管理するツールやアプリのことをいう。it・マーケティング用語の一つで、「顧客関係管理」という意味を持つ言葉である。CRM最大の特徴は企業が顧客満足度を向上し、売り上げをアップすることだ。属人化した情報を徹底排除できることも特徴の一つとして挙げられる。

出典:「CRM」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書

しかし、本来「CRM」はあくまでも「顧客関係管理」という概念であり、ツールのことではありません。

ツールはあくまでもCRMをおこなっていくための手段であり、ツールがなくてもCRM自体は実施できます。そうでなくては、「リアルではCRMをおこなえない」ということになってしまいます。

つまり、「顧客を捉えて分析し、それに対してどうコミュニケーションを取るかを考えること」ができればCRMであり、さらにその後のコミュニケーションを取る手段として、MA・SFAツールなどがあるということです。

mtc.が考えるCRM(顧客関係管理)とは

CRMは一般的に、購入後の顧客のみを対象とする場合が多いです。

しかし弊社mtc.(CRMの支援会社)が考えるCRMでは、見込み客~既存顧客・離反顧客までを対象とします。あらゆるフェーズの顧客と一貫したコミュニケーションを取り、関係を維持・向上させる取り組みのことを指します。

  • 一般的なCRM:既存顧客のみを対象
  • mtc.が考えるCRM:見込み客~既存顧客まで、全てが対象

なぜなら、顧客とのコミュニケーションは、接触した瞬間から顧客になった後まで一貫しているべきであり、一般的なCRM(既存顧客のみを対象とするCRM)では各部署/施策でコミュニケーションがバラバラになってしまうからです。

たとえば、Web広告で顧客を獲得し、その後MA(マーケティングオートメーション)で管理するケースを考えてみます。仮にWeb広告のみで見込み客向けのコミュニケーション戦略を考え、MAでは既存顧客向けのコミュニケーションを取ったとします。

すると、新規顧客と既存顧客へのコミュニケーションに大きく乖離が出てしまいます。同じ顧客に対して異なるコミュニケーションをしてしまうからです。

このようなズレを無くすためにも、すべての顧客に対してCRMをおこない、一貫したコミュニケーションを考えることが重要です。

▼CRMをおこなう前に理解しておきたい「ロイヤルティ」と「顧客満足度」の違い

「ロイヤルティ」と「顧客満足度」をイコールで考えている方もいらっしゃるでしょう。しかし、両者は異なるものです。

ロイヤルティと顧客満足度を以下のように定義しています。

  • ロイヤルティ=長期的に使い続けてくれる(横軸)
  • 顧客満足度=特定の瞬間の満足(縦軸)

たとえば、「10万円が当たるキャンペーン」というキャンペーンをおこなったとして、当選したユーザーはその瞬間だけ顧客満足度が高くなるでしょう。しかし、このユーザーが自社のサービスを使い続けてくれるかはわかりません。

なぜなら、一度10万円をもらっただけだからです。その喜びはサービスの利用継続には繋がりません。つまり、いくら顧客満足度だけを高めても、継続・リピートする理由にはならないのです。

そのため、CRMを実施することで、顧客満足度だけでなくロイヤルティも高めていく必要があります。

CRMの具体例

では、CRMとはどのようなことをおこなうのかをより理解するために、具体例を見ていきましょう。

初回メールのコミュニケーション(見込み客に対するCRM)

アクセスログを基に、流入経路別で初回のメール配信におけるコンテンツの内容を変えることもCRM施策です。流入経路によって顧客の質は異なるため、初回メールの内容を統一するのではなく、適切なコミュニケーションを取るために、広告から流入してきたグループ、オーガニックから流入してきたグループといったように、どこから流入してきたかによって内容を変えます。

このように、顧客データがない見込み客の段階からCRMをおこない、最初から適切なコミュニケーションを取ることで、優良顧客に育てやすくなります。

顧客の誕生日の施策(既存顧客に対するCRM)

誕生日は、顧客に特別感を演出しやすく、顧客満足度もロイヤルティも高められる絶好の機会です。

分かりやすい例を挙げると「バースデークーポンの配布」などがよく行われます。

またクーポンの配布だけではなく「顧客が喜びそうなオリジナルのプレゼントを届ける(特定の条件を満たした顧客にのみ送ることで特別感を演出する)」といった施策も考えられます。

配送にかかる時間を計算したうえで、誕生日当日にプレゼントが届くように発送ができれば、顧客に大きなインパクトを与え、顧客満足度やロイヤルティを向上できるでしょう。

MA・SFAとの違い

CRMと似た言葉にMAやSFAがあります。

MAとSFAは、それぞれ以下のようなものです。

MA(マーケティングオートメーション)マーケティング施策を、管理・自動化・効率化するツール・システム
SFA(営業支援ツール)営業業務を管理・自動化・効率化するツール・システム

このように、MAとSFAはそれぞれツール・システムのことを指す言葉ですが、CRMは先ほどもお伝えしたように、本来であれば「顧客関係管理」という概念を指します。

MAとSFAは、CRMを実施する際の手段です。つまり、どちらもCRMに含まれるということです。

CRMに取り組むのがおすすめな企業

CRMは、基本的にはどのような企業でも取り組むべきだと考えます。ただし、CRMには「はじめるべきフェーズ」があるため、その判断は大切です。

はじめるべきフェーズとは「広告による集客施策が頭打ちになっている、もしくは陰りが見えてきた段階」です。

広告で大量にユーザーを獲得できているのであれば、そこまでCRMはあまり必要ありません。成果が出ているのであれば、広告に予算をつぎ込んだ方が費用対効果が高いからです。

しかしそのような状態であっても、CPA(顧客獲得単価)が高騰するなど、いつか取り組みに陰りが出る可能性があります。そのような場合、CRMに取り組むことがおすすめです。

そのためには、いつでもCRMに取り組めるようにデータを蓄積しておくことが大切です。

なぜなら、CRMで使用するデータがなければ、数か月かけてデータを貯めることからはじめなければなりませんが、十分なデータさえあればすぐに取り組みはじめられるからです。

特にCRMでは、アクセスログのチャネルやサイト内回遊といったデータが分析に使用できる状態になっているかが重要です。これらが十分に貯められていれば、顧客ニーズなどの解像度が高まり、行える施策が増え、成果に繋げやすくなります。

反対に、アクセスログのデータがない、もしくは不十分だった場合、顧客のデータと購入履歴などしか使用できないためできることは非常に限られてしまいます。

ただし、データがないとCRMの取り組みがまったくできないというわけではありません。アクセスログなどの必要なデータを貯めるのと並行して、購入履歴などの今あるデータを活用すればCRMは実施できます。

CRMの始め方・導入方法(CRM戦略の考え方)

CRMにこれから取り組む場合、予算が限られているのであれば小規模からはじめてみましょう

CRMと聞くと「MAなどのツールを導入すべきでは?」と思う方もいらっしゃるかも知れませんが、例えば、メールを配信できる土台さえあれば、はじめることは可能です。

大切なのは、一通のメールからでもいいのでやってみることです

開封率・クリック率・コンバージョン率を見ていった際に、それまでのメールよりも向上していれば、それ以外のCRM施策を検討するなど、取り組みを広げていきましょう。

CRMをはじめる場合、以下の手順で進めるのがおすすめです。

  1. 顧客との関係性をどう定義しているかを確認し、コミュニケーションの軸を決める
  2. 顧客の分析が十分にできているかを確認
  3. KGI、KPIを明確にする
  4. KPIに対して、まずやるべきことを決める
  5. 施策を実行し、さらに展開する

手順の詳細は、下記記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

CRM 戦略

CRMに取り組んだ企業の成功事例

ここまで、CRMについて解説してきましたが、より具体的にイメージできるように、弊社が支援をおこなった事例をご紹介します。

化粧品会社のEC事業でコミュニケーション戦略を設計し、4年で売上が約3倍に成長

化粧品会社のA社は、これまで百貨店等での店頭販売を中心に展開していましたが、さらなる事業成長のために、オンラインでのタッチポイントを増やすことになったため、いかにECでの売上を伸ばすかが求められていました。

しかし、リソース不足によってデジタル領域への人材配置ができず、Web広告含めたデジタルマーケティングの経験やノウハウが不足していることに課題を感じていました。

そこで、デジタルマーケティングを推し進めていく上での戦略設計含め、EC事業を共に成長させていく外部パートナーを探し、弊社にご相談をいただきました。

まず、チームメンバー全員で「どのようなブランドでありたいか」といった、認識の擦り合わせを実施。そのうえで、ペルソナ・カスタマージャーニーなどコミュニケーション戦略の設計を実施し、具体的な戦術を決めていきました。

策定したカスタマージャーニーをもとに、統一された世界観でブランドを見せていくことを目的とし、商品の同梱物やサイトデザイン含め、EC顧客との各タッチポイントの整理までをおこないました。また、設計を支援しつつ、メールやLINEなどの施策の実施も並走して支援しました。

その結果、ECの売上は右肩上がりで成長。4年で売上は約3倍、ECとしては過去最高益を達成できました。また、従来では百貨店等の店舗が、顧客の購買活動における重要なタッチポイントでしたが、現在ではECを含めたWeb上でのタッチポイントが、顧客の購買活動において重要なタッチポイントであるという認識が、社内で醸成されています。

さらに、もともとデジタル領域の知見がないメンバーが中心でしたが、PDCAを回していくことで現場のデジタルリテラシーが向上し、人材育成にも繋がりました。

顧客の解像度を高めてコミュニケーションを統一し、リピート顧客の割合が増加

小売業のB社は、グループ内で複数のブランドを保有していますが、ブランドごとに店舗・カタログ・ECなど、販売チャネルやコミュニケーション設計が異なっていました。そのため、ブランドごとの売上は上げられていたものの、グループとして統一したブランドであることが認識されておらず、顧客のLTVが低い状態でした。

また、売上を上げるための取り組みが、セール開催時や新商品追加などの「お知らせメール」を配信する程度であったため、ユーザーとのコミュニケーションを考慮できていないという課題があり、弊社にご相談をいただきました。

元々、取り扱い商品ごとのコミュニケーション設計が中心であったため、まずは共通のブランドとして「なぜこのブランドでユーザーが商品を買うのか」という理由を言語化すべく、ブランド横断でデザインリサーチの手法を用いたワークショップをおこないました。

ワークショップではブランドごとにユーザーインタビューも実施。それぞれの顧客がどのような課題を抱えており、なぜその商品を買うのかなど、顧客解像度を高めていきました。そして、ブランドで共通となるペルソナやコミュニケーション設計の見直しもおこないました。

ブランドを横断して顧客の解像度を高めたことで、社内でも顧客への考え方が変わり、商品ごとに異なっていたコミュニケーションが統一されていきました。さらに、これまでになかった「お客様の課題を解決するソリューションとしての商品」という意識が現場メンバー間で生まれました。

結果、店頭での接客スタイルも「ただ商品を売る」だけではなく、あくまでも顧客の課題を解決するためのソリューションが商品である、という考えのもと、おもてなしを重視した接客へと変化。顧客起点で考える文化が社内で醸成できたことにより、各販売チャネルでの商品提案の質も向上しました。さらに、クロスセルを実施できるようになり、リピート顧客の割合が増加しました。

CRMツールの必要性や導入のタイミング

CRMを実施する際にツールを導入するかは、企業によって異なります。MA・SFAなどのCRMで活用されるツールは、必須ではなく業務を効率化するためのものだからです。そのため、CRMを実施するうえで、必要であれば導入することを考えれば大丈夫です。

やってはいけないのが、CRMでやりたいことが決まっていない状態でツールを導入することです。やりたいことが明確でない状態でツールを導入しても、機能が足りなかったり、自社に適さないツールを導入したりしてしまいかねないからです。

ツール自体も、BtoB・BtoC向け、中小企業・大企業向け、エンタープライズ向けなどさまざまな特徴があるため、それらも見極めなくてはなりません。

そのため、まずはメールなどのツール無しではじめられるところから取り組み、そこから取り組みを広げる手段として、その目的に応じてツールを選びましょう。

まとめ

本記事では、CRMの定義やはじめ方、成功事例を解説してきました。

CRMという言葉は、ツールを指して使われることが多いのですが、本来の意味は「顧客関係管理」という概念であり、ツールはその手段でしかありません。

また、CRMは購入後の顧客を対象とするのが一般的ですが、見込み客ともコミュニケーションをおこなうため、弊社ではすべての顧客に対してCRMを実施しています。そうすることで、一貫性のあるコミュニケーションが取れるため、優良顧客を育てやすいからです。

CRMにこれから取り組みたい場合は、まずメールの配信からはじめるなど、小規模でおこなってみましょう。ツールの導入は、CRMで成果が出て、やりたいことが明確になってからでも問題ありません。

本記事をお読みいただき、今はCRMは必要ないと判断した企業も、いつでもCRMをはじめられるようにデータは貯めておくことをおすすめします。

「CRMは難しそう」と考えるのではなく、まずは取り組んでみることが大切です。

CRMでお困りではありませんか?
  • CRM施策を実施したいが、何から実施していいのかがわからない
  • CRMの戦略はできているが、具体施策に落とし込めない
  • CRMに対して課題は持っているが、社内にノウハウもリソースもない

もしこれらの課題をお持ちの方がいらっしゃいましたら、大手化粧品会社をはじめ創業から約7年に渡り一貫してCRM支援に携わってきた私たちmtc.にまずは相談してみませんか?

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