CRMツールとメール配信システムの違い|何ができ、どう選ぶべきかを解説
CEO
岡崎 徹
メール施策をおこなううえで、CRMツールとメール配信システムのどちらを導入すべきかお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
CRMツールとメール配信システムでは、できることが大きく異なります。そのため、自社がどのようにメール施策を実施していきたいのかによって、選ぶべきツールが変わります。
この記事では、CRMに特化した支援会社「mtc.」が、CRMツールとメール配信システムの違いや選び方について解説します。
また、ツールを選ぶ前にやるべきことや、メールを使った代表的なCRM施策についても解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
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- CRM施策を実施したいが、何から実施していいのかがわからない
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CRMツールとメール配信システムの機能の違い
CRMツールを選ぶか、メール配信システムを選ぶかを考える前に、これらの機能の違いを理解しておきましょう。
まず、メール配信システムはメール配信を効率化するためのツールです。基本的にシナリオ作成などはできず、自分たちで作成したリストを基にメールを配信します(もしくは別途MAで作成したリストを取得して配信します)。
対して、CRMツールはメール配信機能以外にも、セグメント分けやシナリオ・リスト作成といったさまざな機能を搭載しており、ツールごとにAIなどの独自機能もあります。
▼それぞれのツールでできること
CRMツール | ・セグメント分け・配信リスト作成・シナリオ作成・メール配信・顧客データの蓄積 など |
メール配信システム | ・メール配信 |
CRMやメール施策に取り組み始めたばかりであれば、メール配信システムでも十分なケースもあります。
しかし、メール配信システムのみでは毎回セグメント分けが必要になるため、メール施策に力を入れるのであれば、いずれはCRMツールが必要になるでしょう。
ただし、最近のメール配信システムは、ステップメール機能やセグメント機能など、MAツールの機能が搭載されたものも増えています。そのため、メール配信システムとCRMツールとの差がなくなってきているというのが現状です。
そのため、CRMツールを導入する前に、MA機能も備えた安価なメール配信システムを利用する企業もあります。
CRMツールとメール配信システムはどちらを選ぶべきか
CRMツールとメール配信システムは、どちらを選ぶべきなのでしょうか。結論から申し上げると、どちらを選ぶかは企業によって異なります。
メール配信システムを選ぶべきケース
先ほども解説したように、メール配信システムはリストに対してメールを送る機能がメインです。そのためセグメント分けなどは毎回自分たちで行わなければなりません。
もし、エンジニアがフル稼働で対応できる状況であり、なおかつセグメントの種類が少ない場合は、メール配信システムでも対応できます。
たとえば、
- 男女でセグメント分ける
- 時間指定でメールを送る
- 購入後のユーザーにお礼メールを送る
こういった用途だけならば、CRMツールは必要ありません。
CRMツールを選ぶべきケース
メール配信システムでメール施策に効果を感じたら、より個別最適化されたメールを送ることで成果に繋がる可能性が高いでしょう。
そうなった場合は、CRMツールに切り替える必要性が出てきます。
「これからメール施策に力を入れたい」「さらに施策の幅を広げていきたい」と思った場合、メール配信システムでは対応しきれません。
CRMツールであれば、セグメント分けからリスト作成・シナリオ設計まで行え、顧客ポートフォリオ(属性や購入状況など)に合わせて何百通りのメールを自動で出し分けることができます。
ただし、CRMツールがあるからといって、上記のようなことがツールに丸ごと任せられるわけではありません。あくまでセグメントの分け方やシナリオ自体を「考えること」は、マーケターの役割です。
ツールは、マーケターの考えを実行する際に効率化・自動化するために利用することを覚えておきましょう。
CRMツールとメール配信システムを組み合わせるケースもある
なお、CRMツールの中にはメール配信機能が搭載されていないものもある点に注意が必要です。そのような場合は、CRMツールにプラスしてメール配信システムが必要になります。
具体的には、CRMツールでセグメント分けやシナリオ作成をおこない、メール配信システムで配信するという流れです。
また、CRMツールは配信コストが高いため、あえてこのようにツールを組み合わせて使うことで、コストを抑える方法もあります。
配信コストはツールごとに異なり、さらに配信課金や人数課金といったように、課金体系によっても異なります。
そのため、CRMツールとメール配信システムは、ツールごとの機能や配信コスト・利用料金を比較し、金額と工数の兼ね合いで選ぶことが大切です。
ツールを選ぶ前にツール配信テストを実施するのがおすすめ
CRMツールとメール配信システムのどちらを選ぶにしても、ツール選びに失敗しないためにも事前に次の手順からはじめましょう。
- CRM戦略を考える
- 手作業でテストを実施して結果を確認
- 作業を効率化するために導入するツールを検討
では、これらの手順について解説していきます。
STEP1.CRM戦略を考える
まず、どのようにメール施策をおこなっていくかを明確にするために、CRM戦略を考えてやるべきことを決めましょう。
本格的におこないたい場合は、以下の手順で戦略を立ててください。。
- 顧客との関係性をどう定義しているかを確認し、コミュニケーションの軸を決める
- 顧客の分析が十分にできているかを確認する
- KGI、KPIを明確にする
- KPIに対して、まずやるべきことを決める
上記の手順は、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
STEP2.手作業でテストを実施して結果を確認
どのようにメール施策をおこなっていくのかを決めたら、ツールを導入する前に手作業でテストを実施し、効果を確認しましょう。
例えば先ほどのように、簡単な内容からでも問題ありません。
- 男女でセグメント分ける
- 時間指定でメールを送る
- 購入後のユーザーにお礼メールを送る など
まず人の手でおこない、その効果を確認することで、本格的に実施していくべきメール施策が明確になり、ツールに求める機能も明確になります。
既にメール施策を行っている場合は、「より成果が出ている部分はどこか」「本格的に力を入れていきたいのは何か」をこのフェーズで考えてみましょう。
STEP3.作業を効率化するために導入するツールを検討
テストで効果が得られたら、ツールを導入して効率化を図りましょう。
CRMツールを導入する場合は、導入にかかる期間としてスモールスタートであれば1ヵ月ほど、代表的なシナリオを2~3本ほど組んでおこなうのであれば3ヵ月ほど、おこないたい施策をすべてやる場合は半年~1年ほどが目安となります。
おすすめのメール配信システムと代表的なCRMツール
ここまで、メール配信システムとCRMツールの違いについて解説しましたが、本章では実際に弊社が活用した中でおすすめのツールと、代表的なツールをご紹介します。
おすすめのメール配信システム
メール配信システムとしておすすめなのが、MPSE(Mail Publisher Smart Edition)です。
MPSEは、ファイルベースでメールを配信することができる高性能メール配信システムです。
シンプルで高い操作性を有しており、システム間連携をおこないやすいツールです。また、さまざまなツールを組み合わせることで、高品質で高機能なメールマーケティング環境を簡単に構築できます。
また、メール配信において大切なのは、配信速度と到達性です。MPSEでは、非常に高い配信速度と到達性の両立を可能にしており、狙ったタイミングで届けたいコンテンツを確実に配信できます。
【料金】 要問合せ |
その他の代表的なCRMツール
CRMツールは企業によって選ぶべきポイントが大きく異なるため、「これを入れておけば間違いない」というツールはありません。そのため、ここでは代表的なツールを3つご紹介しますので、参考にしてください。
ツール | 特徴 | 料金 |
KARTE | ・各顧客に合わせたタイミングで、メール・LINE・プッシュ通知を送付・ユーザー行動を線で捉えることで、シーンやシナリオに合わせたコミュニケーションを設計・検証・改善できる・SQLを書かなくてもGUIで感覚的にリストを作成・管理できる | 要問合せ |
Salesforce | ・Salesforce上の顧客データをそのまま活用してメールを送れる・開封率やクリック率を取得することで、どのような件名・文面を送ると反応が多いかを分析したり、ABテストを実施したりできる・生成AI「Einstein」を備えており、顧客のコミュニケーション履歴・興味・関心を基にして、ワンクリックでメールの自動生成が可能 | 要問合せ |
IBMキャンペーン | ・一人ひとりに合わせた内容を適切なタイミングで配信できる・さまざまなチャネルでのコミュニケーションから効果測定までの一連のサイクルを自動で実施できる・抽出した顧客ごとに、最適なオファーを最適なタイミングで提供することができる | 要問合せ |
これらのCRMツールの詳細は、「CRMツールとは|機能・導入タイミング・導入手順をわかりやすく解説」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
メールを使った効果的なCRM施策
ここまで、メールでCRMをおこなうためのツールについて解説してきましたが、ここからは実際の施策について解説していきます。
代表的な施策として、以下の2つがあります。
- シナリオ別のステップメール
- マスメール
ステップメールとは、あらかじめ設定されたシナリオに沿って配信するメールのことです。特定のアクションをした人に対して、シナリオを出し分けるとより効果的です。CRMの施策としてもっとも用いられやすいのが、このシナリオ別のステップメールです。
シナリオによって、前の結果を使って次に送る内容を変えられるため、ユーザーごとに適した内容のメールを配信できます。たとえば、会員登録のお礼メールを配信した場合、「開封した人」と「開封しなかった人」それぞれに対して、次回は別のメールを送るなどです。
対してマスメールは、ユーザー全体に配信するメールのことです。例えば一斉配信の「新商品リリースメール」「キャンペーン告知メール」などがこれにあたります。
ステップメールのシナリオを作成するポイント
ステップメールのシナリオを作成する際のポイントは「取りこぼし」がないようにすることです。
「どのシナリオにも該当せずコミュニケーションを取れない人」が出ないようにし、全員に対して何らかのアクションが起こせていることを意識して作成することが重要です。
そのためには、顧客ポートフォリオを細かく作成しましょう。顧客ポートフォリオは、購入頻度や今後の購買意欲などによって顧客を分類したものです。
顧客ポートフォリオを作成しておくと、各セグメントに対してどうコミュニケーションを取っていくべきかが見えやすくなります。
グループの分け方や各項目の基準は、企業によって異なります。自社の商材やサービスに合わせた顧客ポートフォリオを検討してください。
顧客ポートフォリオを作成したら、それを基に以下のようなシナリオを作成しましょう。
- 会員登録シナリオ
- お気に入り登録シナリオ
- 離脱シナリオ
- 新着メールシナリオ(新着商品のお知らせなど)
- カートシナリオ(「購入をお忘れではないですか?」「在庫残り1点です」など)
- あなただけのタイムセール
また、ステップメールの中でも以下のような粒度でシナリオが分かれます。
- マスメール(全員に配信されるメール)
- セグメントメール(ある程度セグメントされたメール)
- パーソナライズメール(ほぼ1to1のメール)
これらは、セグメントの切り方によって変わってきます。そのため、ポートフォリオ見ながら取りこぼしがないようにシナリオを作成していきましょう。
CRMメール施策の成功事例
最後に、CRMメール施策を実施し、成功した企業の事例をご紹介します。
ペルソナの設計により、3ヶ月でメール経由の売上が3倍に増加
ファッションECサービスを展開するC社は、マーケティング施策が主にクーポンやポイント施策、および広告が中心でした。そのため、リピート率が圧倒的に低いことに課題を感じていました。
また、新たに目標を設定したものの、既存施策以外の施策を講じなければ達成は難しく、新規顧客の獲得だけでなく、顧客のリピート率を改善するべく、CRM施策を展開できる体制を構築することが急務となっていました。
同社は、ターゲットそのものが明確になっておらず、それに紐づく戦略がなかったため、ペルソナの設計を含めた戦略立案を実施。ペルソナ設計をおこなったことで、理想とすべきユーザーとのコミュニケーションが明確化されました。
その結果、注力していたメール施策では施策前と比べて開封率が2倍、メール経由での売上が約3倍になり、事業成長に大きく貢献しました。
CRMツールを導入したことによって、もともと数種類しかなかったメールの切り口も、ペルソナに合わせて複数用意できるようになり、ユーザーごとに合わせたコミュニケーションを実現できるようになりました。
まとめ
この記事では、CRMツールとメール配信システムの機能の違いや、どちらを選ぶべきかについて解説しました。最後にまとめをご覧ください。
■CRMツールとメール配信システムでできること
CRMツール | ・セグメント分け ・シナリオ作成 ・配信リスト作成 ・メール配信 ・顧客データの蓄積 など |
メール配信システム | ・メール配信 |
■CRMツールとメール配信システムはどちらを選ぶべきか
メール配信システムがおすすめ | ・エンジニアがフル稼働で対応できる状況であり、なおかつメールの種類が少ない場合 ・メール施策として男女でセグメント分ける、購入後のサンクスメール送るといったことだけおこなう場合 |
CRMツールがおすすめ | ・セグメント分けやシナリオ作成をおこなう必要がある場合 ・メール配信システムで効果を感じ、さらに力を入れていきたい場合 |
■CRMメール施策のはじめ方
- CRM戦略を考える
- 手作業でテストを実施して結果を確認
- 作業を効率化するために導入するツールを検討
ツールを選ぶ際には、まず手作業でおこなってみることが大切です。それをおこなわずにツールを選ぶと、必要な機能が搭載されていないといった自社に適さないものを導入してしまう可能性があります。
これからツールを選ぶ場合は、ぜひこの記事を参考に判断してみてください。
- CRM施策を実施したいが、何から実施していいのかがわからない
- CRMの戦略はできているが、具体施策に落とし込めない
- CRMに対して課題は持っているが、社内にノウハウもリソースもない
もしこれらの課題をお持ちの方がいらっしゃいましたら、大手化粧品会社をはじめ創業から約7年に渡り一貫してCRM支援に携わってきた私たちmtc.にまずは相談してみませんか?