CRMツールとは|機能・導入タイミング・導入手順をわかりやすく解説
CEO
岡崎 徹
CRMツールとは、ひとことでお伝えすると「CRMを効率的に実施するためのツール」のことです。MAツールやメール配信ツールなど、さまざまなツールが当てはまるため、その定義は明確ではありません。
CRMツールは「CRMに取り組むからとりあえず導入しておこう」のように、考えなしに導入することはおすすめしません。施策に適していないものや、多機能すぎて使いこなせないものを選んでしまう可能性があるからです。
そのため、導入するタイミングや手順を理解しておくことが重要です。
本記事では、CRMに特化した支援会社「mtc.」が、CRMツールについて知っておくべき知識を解説します。
「とりあえず導入してみたが全く使いこなせない」と後悔しないように、ぜひ最後までお読みください。
- CRMに取り組んでいるものの、思うような成果が上がらない
- メールやLINE、MAの運用など様々な施策を横断的に取り組んでいるものの、正解が見つけられない
- リピート率向上やF2転換、LTVの向上など課題はあるものの、最適な打ち手が分からない
もしもこれらの課題をお持ちの方がいらっしゃいましたら、プロによるCRMのパフォーマンス診断を実施してみませんか。大手化粧品会社をはじめ創業から約7年に渡り一貫してCRM支援に携わってきた私たちmtc. が、貴社の戦略についてアドバイスをさせていただきます。診断は無料です、お気軽にご相談ください。
CRMツールとは
冒頭でもお伝えした通り、CRMツールに明確な定義はありません。
CRMを効率化する際に使用するツールを指すため、どのようなマーケティングを実施するかによって、どのツールを指すかが異なるのです。
本記事では、「デジタルマーケティングの施策をおこないたいと思った時に、タイムレスかつシームレスにそれを実現できるツールの総称」と定義します。
たとえば、CRM施策の一環としてセグメントメールの配信をおこなう場合、以下のような作業が必要になります。
- セグメントを分ける
- メール配信リストを作成する
- セグメントごとに最適化されたメールを、最適なタイミングで配信する
- 開封率を確認し、メールの内容をテストする など
しかし、これらを毎回人の手でおこなっていては非常に手間がかかります。
そのような場合に、それらを自動または効率的に実施できるツールを導入することで、施策をスムーズに実行できるようにするのです。
つまりCRMツールとは、人間(マーケター)が思い描いたCRM施策を実行しやすくする、「補助」「効率化」を担うツールだと考えると分かりやすいでしょう。
施策を考えるのは人間なので、CRMツールを導入してもツールが勝手にCRMを実施してくれるわけではありません。
なお、上記の定義を基にCRMツールの例を挙げると、以下のようなツールが当てはまります。
- MAツール
- メール配信ツール
- Web接客ツール
- データ管理(分析基盤)ツール など
MA・SFAとの違い
CRMツールと比較されることが多いツールに、「MA」「SFA」があります。これらはそれぞれ以下のような特徴を持つツールです。
MA(マーケティングオートメーション) | ・マーケティング施策を、管理・自動化・効率化するツール・システム・BtoC向け |
SFA(営業支援ツール) | ・営業業務を管理・自動化・効率化するツール・システム・BtoB向け |
これらは、CRMを実施する際に活用するツールであるため、CRMツールに含まれると考えられます。
特にMAが用いられることが多く、MAをCRMツールと呼んでいるケースもあります。
CRMツールでおこなえること・代表的な機能
CRMツールは、前述したとおりMAやメール配信ツールなど、CRMを実施するためのツールの総称です。そのため、導入するツールによって搭載される機能は異なります。
基本的な機能として挙げられるのは、以下の3つです。
- 顧客データを貯められる
- セグメントを分けられる
- メール配信できる/開封率を確認できる
そのほかには、ツールごとに独自の機能を搭載していることもあります。
▼例
CRMツール | 独自機能 |
Salesforce | 「Einstein」というAIによって、顧客のコミュニケーション履歴・興味・関心を基にしたメールをワンクリックで自動生成できる |
KARTE | 訪れたユーザーにIDを割り振ることで、会員登録をしていないユーザーにもアクセス解析レベルのWeb接客が可能 |
なお、CRMツールの機能として「分析ができる」と説明されていることがあります。しかし、CRMツールでデータの蓄積はできても、分析は基本的にできません。あくまでも、ツールを通して実施した施策の結果の確認のみです。
もちろんツールによっては、そのツールの中にある固定の定義に合うデータをインポートできれば、分析できるケースもあります。ただし、その場合でも限られた分析しかおこなえません。
また、CRMツールで施策をすべて実施することは困難です。施策を検討するのは人であり、ツールはそれを実行していくだけの手段にすぎないからです。
どのようなツールを導入したとしても、CRMを突き詰めていくと、結局は自社専用の開発が必要になるケースも多々あります。
CRMツールを導入すべきタイミング
CRMツールを導入するタイミングは、「やりたい施策が決まっており、それを実施する手段がない時」です。
反対に、何をするかが決まっていないのに、「CRMを実施するならツールが必要だ」といったように、とりあえずツールを導入すると失敗してしまう恐れがあります。
また、単に「顧客をセグメント別に分類したい」という場合も、まだツールを導入する段階ではありません。費用対効果が見合わないケースがあるため、まずは自社でデータベースを活用しておこなうのがおすすめです。
CRM施策はツールがなくてもできる場合が多いです。そのため、以下の手順で導入するかを判断するのがおすすめです。
- 実施したい施策を決定する
- 手作業でテストを実施して結果を確認する
- 「十分な成果が見込めることがわかったが、手作業では非効率」という場合は、効率化するためにツールの導入を検討する
繰り返しになりますが、あくまでCRMツールは「施策を効率化するためのもの」と考えることが重要です。
自社にツールが必要か、どのようなツールが適切かわからない場合は、ツールの導入前にプロに相談することも大切です。
CRMツールを使いこなせていない具体例
やりたいことを決めずに「とりあえずツールを導入する」ことが、どのような失敗に繋がるのかを理解するために、CRMツールを使いこなせていない具体例について見ていきましょう。
大手企業や老舗企業に見られるケースとして、多機能で高額なCRMツールを導入しているものの、ただメールを配信するためだけにしか利用されていないことがあります。
本来であればメール配信ツールで十分なところに高額なツールを導入しているため、ツールの機能を使いこなせておらず、コストが無駄になっているということです。
より安価なメール配信ツールを導入するだけで、同じことが実現できるケースは多々あります。
「メールを配信すれば顧客育成に繋がる(CRM=メール配信だ)」と考えていると、このような失敗に陥ってしまいがちです。
このように、やりたいことに対して適切なツールを導入できていないと、無駄な時間やコストをかけることになるので注意が必要です。
代表的なCRMツール7選
世の中には多くのCRMツールがありますが、覚えておきたいのが「やりたいことを全部できるツールはない」ということです。
そのため、自社がやりたいことに対して、人の手では非効率な部分を担ってくれるCRMツールを選びましょう。代表的なCRMツールをBtoC向けとBtoB向けに分けてご紹介します。
ツール名 | 特徴 |
【BtoC向け】 | |
KARTE | CRMに役立つ複数のパッケージを提供している。訪れたユーザーにIDを割り振ることで、会員登録をしていないユーザーにもアクセス解析レベルのWeb接客をおこなえる。 |
Salesforce | CRMに役立つ複数のパッケージを提供している。生成AI「Einstein」により、顧客のコミュニケーション履歴・興味・関心を基にして、ワンクリックでメールの自動生成をおこなえる。 |
IBMキャンペーン | 膨大な顧客データの中から対象顧客を抽出したり、さまざまなチャネルでのコミュニケーションから効果測定までの一連のサイクルを自動で実施できたりする。 |
カスタマーリングス | 生成AIを活用して、顧客プロファイルやメール件名の自動生成、アンケート設問自動生成/改善提案がおこなえる。 |
STAFF START | 店舗スタッフの接客をDX化(デジタル化)できる。店舗スタッフがスナップ写真やショート動画を投稿したり、商品をプロ目線からレビューしたりできるなど、オフラインで行う接客がオンライン上でおこなえるようになる。 |
OTORIOKI | Webサイトの商品を実店舗で取り置きできる。ユーザーがWebサイトで欲しい商品を見つけた際に、確実に購入できるように取り置きを依頼できるようになる。 |
【BtoB向け】 | |
kintone | 社内に散在する顧客情報や案件情報を一元管理することで、効率的・効果的な営業活動を実施できる。 |
SKYPCE | 名刺情報を組織で一元管理・共有でき、営業活動やマーケティングの強化が可能。AWS認定ソフトウェアで、セキュリティ・信頼性・運用上の優秀性に関してAWSのベストプラクティスに準拠している。 |
Sansan | 名刺や企業情報、営業履歴を一元管理して共有でき、売上拡大とコスト削減を同時に実現できる。100万件を超える企業データベースを利用できる。 |
BtoC向けのCRMツールを紹介
KARTE
引用:KARTE
KARTEは、以下のように複数のパッケージを提供しています。
- KARTE Web:Web接客
- KARTE App:アプリマーケティング
- KARTE Message:MA
- KARTE Blocks:サイト運営・改善
- KARTE Signals:広告配信最適化
- RightSupport by KARTE:カスタマーサポート
自社の課題やCRMを実施して達成したい目標に合わせて、複数のパッケージを組み合わせられます。
たとえば、Web接客のパッケージであれば、レポートで施策の効果を振り返ることができ、反応が良いユーザー、悪いユーザーの特徴も深掘りできます。また、ユーザー行動に応じて、メールやプッシュ通知を出しわけることも可能です。
さらに、訪れたユーザーにIDを割り振ることで、会員登録をしていないユーザーにもアクセス解析レベルのWeb接客をおこなえる独自機能も備えています。
Salesforce
引用:Salesforce
Salesforceは、見込み顧客の獲得から購買・成約までの一連のプロセスを効率化するためのプラットフォームです。
以下のように、BtoB・BtoC・カスタマーサービスなど、顧客との接点領域ごとに製品が分かれています。
▼Salesforceの代表的な製品
- Sales Cloud:営業活動を支援するCRM・SFAツール
- Service Cloud:カスタマーサービスにおける体験・エンゲージメント・プロセス・自動化の質と効率を高める
- Marketing Cloud:顧客の全体像を表すプロファイルを作成し、AIを使って個別化したオファーをあらゆるチャネルで提供
- Marketing Cloud Account Engagement:顧客データを一元化し、AIを活用してマーケティング施策を拡大
また、小売業や製造業といった各業界のプロが開発したソリューションも提供しています。
さらに前述のように生成AI「Einstein」を、独自の機能として備えています。顧客のコミュニケーション履歴・興味・関心を基にして、ワンクリックでメールの自動生成をおこなう、といったことが可能です。
ただし、多機能ゆえにすべての機能を使いこなすにはスキルが必要であり、企業によってはSalesforceに精通した社員を採用することもあります。
IBMキャンペーン
引用:日本IBM
IBMキャンペーンは、一人ひとりに合わせた内容を適切なタイミングで配信する、マルチチャネル・マーケティング・キャンペーン管理を提供するツールです。膨大な顧客データの中から対象顧客を抽出したり、さまざまなチャネルでのコミュニケーションから効果測定までの一連のサイクルを自動で実施したりします。
抽出した顧客ごとに、最適なオファーを最適なタイミングで提供することができ、自動集計されたキャンペーン結果で効果を可視化し、次の施策に活かすこともできます。
カスタマーリングス
引用:カスタマーリングス
カスタマーリングスは、従来のCRM/MAツールから進化を遂げた顧客実感型マーケティングプラットフォームです。ECやBtoCサービスの売上向上を実現するための機能が充実しています。具体的には、顧客データの統合から分析、セグメント設定、アクション実行、管理までをノーコードで完結できる点が特徴です。
特徴的な機能をいくつか挙げると、たとえばMA機能では、メール配信やLINE送信、Webアンケート、Web接客、SMS送信など、多様なチャネルでアプローチを自動で実施できます。これにより、担当者の負担を減らしつつ、顧客との効果的なコミュニケーションを実現し、より優れた顧客体験の提供が可能です。
さらに、生成AI技術を活用した新機能も搭載している点も強みです。顧客プロファイルに紐づくデータを横断的に分析し、個々の顧客特徴や最適な施策案を自動で提示してくれます。
STAFF START
STAFF STARTは、店舗スタッフの接客をDX化(デジタル化)するためのツールです。具体的には、店舗スタッフがスナップ写真やショート動画を投稿したり、商品をプロ目線からレビューしたりすることで、オフラインで行う接客がオンライン上でおこなえるようになります。
また、自分の投稿やレビューなどから商品が購入されることで、店舗スタッフに成功体験を積ませることができ、従業員満足度の向上も期待できます。
OTORIOKI
引用:OTORIOKI
OTORIOKIは、Webサイトの商品を実店舗で取り置きできるツールです。ユーザーがWebサイトで欲しい商品を見つけた際に、確実に購入できるように取り置きを依頼できるため、効果的に来店を促して購買率を高められます。
既存のサイトと別システムでの運用が可能なので、導入のためのサイト改修がほとんど必要なく、簡単に導入できます。また、店舗スタッフも取り置き対応と引き取り確認だけおこなえばよいため、作業が大幅に増えることもありません。
BtoB向けのCRMツールを紹介
kintone
キントーンは、ノーコードで業務のシステム化や効率化がおこなえるサービスで、採用管理や受発注管理など多種多様な用途で活用できますが、営業における顧客情報管理としても活用可能です。社内に分散している顧客情報や案件情報を一元管理し、効率的・効果的な営業活動を実現できます。
機能としては、顧客情報に紐づけて案件やコミュニケーションの履歴を残せるため、スムーズな情報共有が可能です。さらに、営業データをグラフ化して可視化できる機能も備えており、担当者別の対応件数など、営業活動の分析やリソースの最適化に活用できます。
メール共有オプションを利用すれば、キントーン上でメールの送受信が可能となり、顧客情報と連携したメール対応を効率的に進められます。メールアドレスに紐づく対応履歴の表示や、ワンクリックでのメール作成、受信メールからの案件登録など、メール関連の業務効率化機能も充実しています。
SKYPCE
引用:SKYPCE
SKYPCEは、名刺情報の管理などを通じて、営業活動の効率化とリード管理を強化するCRMツールです。新規の名刺交換数に特化した集計機能があり、より正確なリード状況の把握が可能です。既存の取引先と区別して新規リードを可視化することで、営業活動の成果を的確に分析できます。
メール配信機能では、宛先ごとに異なる差出人を設定でき、タグ指定や事前作成した宛先リストからの配信先選定が可能です。URLのクリック率を自動計測する機能も搭載しており、配信効果を可視化して営業メールの改善に活用できます。また、顧客ごとのメール配信履歴を確認できるため、コミュニケーション状況を一元管理できます。
さらに、企業ごとの役員情報を一覧で確認できる機能も備えており、役職や略歴、生年月日などの情報を活用し、キーパーソンの特定やアプローチ先の検討が効率的に行えます。商談後のフォローアップも迅速に対応可能で、名刺一覧画面から直接メールを作成・送信できるため、顧客との関係構築をスムーズに進められるでしょう。
Sansan
引用:Sansan
Sansanは、名刺管理を起点として売上拡大とコスト削減を同時に実現が可能なツールです。名刺情報や企業データ、営業履歴を一元管理し、全社で共有することで、営業活動の効率化と収益最大化が期待できます。
機能特徴としては、たとえば人脈の可視化機能により、名刺交換やメールのやり取りから社内外のつながりを把握できます。同機能を用いることでキーパーソンへのアプローチがしやすくなり、商談をよりスムーズに進められます。また、取引先担当者の人事異動情報が自動で通知される仕組みを備えており、昇格のお祝いや後任担当者への挨拶など、タイムリーなアプローチの実施も可能です。
さらに、Sansanが提供する100万件を超える企業情報データベースを活用でき、受注につながる企業を発見できるのも強みです。
CRMツールを導入するメリット
CRMツールによってどのようなメリットが得られるかは「そのツールを使い何を実現したいか」で異なります。
本章ではその一例として、以下の2つのメリットを解説します。
- 一人に向けたコミュニケーションを大勢に対しておこなえる
- 人的リソースを抑えられる
では、詳しく見ていきましょう。
一人に向けたコミュニケーションを大勢に対しておこなえる
CRMツールを活用することで、大勢の顧客に対して、それぞれに適切なコミュニケーションを取れるようになります。
ユーザーの流入経路・メール配信のタイミング・コンテンツなどを出し分けることができるのです。
非常に優秀な営業マンが、1対1でおこなう理想のコミュニケーションを、1日で1万人におこなえる可能性がある、と考えるとイメージしやすいでしょう。
CRMツールで収集した情報を詳細に分析することで、最適なタイミングで顧客へのアプローチが可能になります。
人的リソースを抑えられる
CRMを人の手のみで実施しようとすると作業量が多くなり、その分の人的リソースも必要です。
そのような場合にCRMツールを導入し、工数の削減や業務の効率化・自動化をおこなうことで、人的リソースを抑えられるようになります。
その結果、業務を効率化できるだけでなく、人件費も削減できるでしょう。マーケターがよりコアな業務に集中できるようになるメリットもあります。
CRMツールの導入手順
CRMツールを導入する手順を見ていく前に、大前提としてエンジニアが必須であることを念頭におきましょう。CRMツールは誰でも扱えるようなツールではないため、エンジニアがいなければ導入できない、または導入しても使いこなせない可能性があります。
導入手順は「CRMツールを導入すべきタイミング」で解説した以下の手順でおこないます。
- 実施したい施策を決定
- 手作業でテストを実施して結果を確認
- 作業を効率化するためにツールの導入を検討
では、これらの手順について、もう少し詳しく見てみましょう。
実施したい施策を決定
まず、どのような施策を実施すべきかを検討します。
以下の手順でやるべきことを明確にしましょう。
- 顧客との関係性をどう定義しているかを確認し、コミュニケーションの軸を決める
- 顧客の分析が十分にできているかを確認する
- KGI、KPIを明確にする
- KPIに対して、まずやるべきことを決める
コミュニケーションの軸が曖昧だったり、顧客の分析が不十分だったりすると、効果的な施策を講じられません。そのため、事前にこれらのことをおこなったうえで、施策を検討してください。
上記の手順は、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
手作業でテストを実施して結果を確認
施策を決めたらいきなりツールを導入するのではなく、まずは手作業でテストを実施しましょう。
実施した結果、施策の効果が得られたら、それを人の手で継続するのか、ツールを導入して効率化するのかを考えましょう。
人の手でおこなえる場合は、現段階ではCRMツールを導入する必要はありません。
作業を効率化するためにツールの導入を検討
手作業で施策を実施していくと手間がかかりすぎる場合は、ツールを導入して効率化を図りましょう。
導入の際は、おこないたい施策を実現できるツールを選定する必要があります。
導入にかかる期間は、スモールスタートであれば1ヵ月ほど、代表的なシナリオを2~3本ほど組んでおこなうのであれば3ヵ月ほど、おこないたい施策をすべてやる場合は半年~1年ほどが目安となります。
戦略立案自体は自社またはコンサルタントが担当し、ツールの設定や導入のオンボーディングなどはツールベンダーに支援してもらうのが一般的です。
CRMツールを導入する際の注意点
CRMツールを導入するのであれば、失敗しないためにも以下の注意点を理解しておきましょう。
- ツール導入前に施策で数値が上がるかどうかの根拠をテストする
- メール配信のみをおこなうなら「メール配信ツール」でこと足りる
では、なぜこれらに注意すべきなのかについて解説します。
ツール導入前に施策で数値が上がるかどうかの根拠をテストする
前章の「CRMツールの導入手順」でも解説しましたが、ツールの導入前には必ず手作業で施策のテストをおこないましょう。
手作業で施策を実行して効果検証し、数値が上がった場合にCRMツールを導入し、効率化するのがおすすめです。実施してみた結果、想定よりも効果が得られず施策を切り替えなければならないケースもあるからです。
施策に合わせてツールを導入したものの、施策を考え直す必要が出てきてしまうと、ツールを最大限活かせなくなる可能性があります。
メール配信のみをおこなうなら「メール配信ツール」でこと足りる
CRMの施策として、メール配信のみをおこなうのであれば、MAなどの多機能なツールではなくメール配信ツールで十分です。
多機能なツールを導入しても使いこなせなければ意味がなく、さまざまなことができる分、使い勝手も悪くなる可能性があります。
▼代表的なメール配信ツール
CRMの施策として、なにをおこなうのかを明確にした結果に応じて、適切にツールを選びましょう。
CRMツールの導入事例
ここまで、CRMツールの機能や導入手順などについて解説してきましたが、CRMツールをどのように活用するのかを具体的にイメージできるように、導入事例を紹介します。
弊社mtc.が支援した企業の中で、ツール導入を含む事例を3つ見ていきましょう。
デジタルマーケティングの立ち上げを支援し、4年で売上は約3倍、ECで過去最高益を達成
マーケティング課題 | さらなる事業成長のためにオンラインでのタッチポイントを増やし、ECでの売り上げを伸ばす必要があった。 |
取り組み | ・チームメンバー全員でのブランドビジョンの認識合わせ・ペルソナ・カスタマージャーニーなどのコミュニケーション戦略設計・EC顧客との各タッチポイントでブランドの世界観を統一・メールやLINEなどの施策実施支援 |
成果 | ・EC売上が4年で約3倍に成長し、過去最高益を達成・Web上でのタッチポイントが購買活動における重要な接点という認識が社内で醸成・現場のデジタルリテラシーが向上 |
化粧品会社のB社は、これまで百貨店等での店頭販売を中心に展開していました。さらなる事業成長を図るためにオンラインでのタッチポイントを増やし、ECでの売上を伸ばす必要がありました。
しかし、リソース不足によってデジタル領域への人材配置ができず、デジタルマーケティングの経験やノウハウの不足に課題を感じていたため、弊社にご相談をいただきました。
まず、チームメンバー全員で「どのようなブランドでありたいか」といった、認識の擦り合わせを実施。そのうえで、ペルソナ・カスタマージャーニーなどコミュニケーション戦略の設計を実施し、具体的な戦術を決めていきました。
策定したカスタマージャーニーをもとに、統一された世界観でブランドを見せていくことを目的とし、商品の同梱物やサイトデザイン含め、EC顧客との各タッチポイントの整理までをおこないました。
また、以前からCRMツールは導入していたものの、やるべきことに適したツールではなかったため、弊社で適切なツールへの切り替えと運用をおこないました。
メール施策はもともと、セグメント分けしてお知らせメールを配信するだけしかおこなっていませんでしたが、ブランド・顧客状況・獲得した商品ごとに顧客育成シナリオを作成し、メールやLINEの配信なども実施しました。
その結果、ECの売上は右肩上がりで成長。4年で売上は約3倍、ECとしては過去最高益を達成できました。また、従来では百貨店等の店舗が、顧客の購買活動における重要なタッチポイントでしたが、現在ではECを含めたWeb上でのタッチポイントが、顧客の購買活動において重要なタッチポイントであるという認識が、社内で醸成されています。
さらに、もともとデジタル領域の知見がないメンバーが中心でしたが、PDCAを回していくことで現場のデジタルリテラシーが向上し、人材育成にも繋がりました。
ツールの導入・運用で、精度の高いWeb接客を実現し、CVR20倍増を実現
マーケティング課題 | 訪日外国人向けECサイトにおいて、離脱率が高く、CVRに課題があった |
取り組み | ・GA4を活用した離脱分析の実施・CRMツール(KARTE)によるWeb接客・基幹システムとの連携・カート商品判別機能の実装 |
成果 | ・各導線ページの遷移率5%以上の改善を達成・CVR20倍を達成 |
EC業界のC社は、訪日外国人を対象としたECサイトを運営していましたが、サービスの特性上、商品数が多いためサイト訪問者の離脱率も高く、コンバージョンへの導線設計が課題でした。
CRMツール(オンライン接客ツール)であるKARTEを導入したものの、もともとは実店舗での販売を中心としていたため、ECサイト運営やツールを効果的に使うための知識・ノウハウが不足していました。
さらにリソースも限られていたため、KARTEを用いた施策の立案から運用までを任せられるパートナーを探しており、弊社にご相談をいただきました。
まず、Webサイトへ訪問してきたユーザーがどこで離脱をしているのかを把握するために、GA4を活用して分析を実施。その結果、一般的なECサイトよりも、カートに商品を入れてから実際に決済をおこなうまでの購入プロセスが非常に長く、購入するまでに5回のページ遷移が必要なことが分かりました。
そのため、遷移中に離脱が起こってしまい、それがコンバージョンに繋がらない一番のボトルネックとなっていることが分かりました。
各ページの遷移率が5%改善されるだけでも相当な売上増に貢献できると判断し、ユーザーに購入してもらうためのCRM(Web接客)を実施することに。基幹システムとの連携やカート商品の判別など、細かなKARTEの設定・実装をおこないました。
結果として、KPIである遷移率が目標であった5%を上回るWeb接客を実現でき、CVRは施策実装前の20倍に向上しました。
マーケティング組織の再構築から半年で、CRMツール経由の売上がゼロから3,000万円に伸長
マーケティング課題 | マーケティングチームのメンバーの知識不足により、業務が限定的で本来のマーケティング活動が実行できていなかった |
取り組み | ・マーケティング組織の人員体制の見直し・CRM戦略の立案とツールの選定・導入・CRMツール運用のシナリオ設計 |
成果 | ・CRMツール経由の売上が半年で0円から3,000万円に伸長・メール経由の売上比率が10%から25%に拡大 |
EC業界のA社には、マーケティングチームはあるもののメンバーのマーケティング知識が乏しかったため、業務が非常に限定的になっていました。そのため、マーケティングを正しく実行できる組織を育成しなければならないという課題がありました。
そこで弊社にご相談をいただき、人員の見直しや、現場メンバーの実行施策に都度フィードバックをおこない、PDCAを回していきました。
さらにCRMの実施を決定し、戦略を立案。それを実現してマーケティング活動を強化すべく、CRMツールを選定・導入しました。
CRMツール運用のためのシナリオ設計を支援し、現場メンバーでCRMツールを運営できる状況を構築しました。
その結果、CRMツールを適切に活用できる環境が整備でき、導入半年でCRMツール経由の売上はゼロから3,000万円へと大きく伸長しました。また、メール経由の売上も10%から25%へと拡大しました。
まとめ
本記事では、CRMツールの機能や導入タイミング、導入手順について解説しました。最後にまとめをご覧ください。
■CRMの基本機能
- 顧客データを貯められる
- セグメントを分けられる
- メール配信できる/開封率を確認できる
■CRMツールの導入手順
- 実施したい施策を決定
- 手作業でテストを実施して結果を確認
- 作業を効率化するためにツールの導入を検討
CRMツールは、あくまで人が考えた戦略・施策を効率的に実施するための補助的な役割を持ちます。
安易にCRMツールを導入すると、使いこなせなかったり、機能が不足していたりするツールを導入してしまう可能性があるため注意が必要です。
自社でCRMツールを導入すべきかわからない場合や、導入できる人材がいない場合などは、プロに相談することをおすすめします。
- CRMに取り組んでいるものの、思うような成果が上がらない
- メールやLINE、MAの運用など様々な施策を横断的に取り組んでいるものの、正解が見つけられない
- リピート率向上やF2転換、LTVの向上など課題はあるものの、最適な打ち手が分からない
もしもこれらの課題をお持ちの方がいらっしゃいましたら、プロによるCRMのパフォーマンス診断を実施してみませんか。大手化粧品会社をはじめ創業から約7年に渡り一貫してCRM支援に携わってきた私たちmtc. が、貴社の戦略についてアドバイスをさせていただきます。診断は無料です、お気軽にご相談ください。