2024.10.02
CRM

マーケティングクラウドとは?機能やできること・必要性を解説

CEO

岡崎 徹

CEO 岡崎 徹

マーケティングクラウド(Marketing Cloud) は、セールスフォース(Salesforce)が提供するMAツールのことです。マーケティングを自動化し、効率的に進めていくために活用します。

マーケティングクラウドは有名で導入している企業が多いものの、操作性や自由度に難点があるため、十分に検討してから導入しなければ、「導入したものの使用していない」「やりたいことができない」といったことが起こる可能性があります。

本記事では、CRMに特化した支援会社「mtc.」が、マーケティングクラウドとほかのセールスフォース製品との違いや、主な機能、導入や活用の注意点を分かりやすく解説します。

また、すでに導入している企業に向けて、使いこなせない場合の対処法も解説していますので、ぜひ最後までお読みください。

CRMで
お困りではありませんか?
  • CRM施策を実施したいが、何から実施していいのかがわからない
  • CRMの戦略はできているが、具体施策に落とし込めない
  • CRMに対して課題は持っているが、社内にノウハウもリソースもない

もしこれらの課題をお持ちの方がいらっしゃいましたら、大手化粧品会社をはじめ創業から約7年に渡り一貫してCRM支援に携わってきた私たちmtc.にまずは相談してみませんか?

INDEX目次

マーケティングクラウドとは

マーケティングクラウドとは、セールスフォースが提供するMA(マーケティングオートメーション)です。

まず、マーケティングクラウドがどのようなツールなのか、セールスフォースの他製品と比べて何が違うのかについて解説していきます。

そもそもセールスフォースとは?

セールスフォースそのものを製品として認識している方もいらっしゃるでしょう。しかし、セールスフォースは顧客関係管理を中心としたクラウドコンピューティングサービスの提供企業の名前であり、マーケティングクラウドはそのサービスのひとつです。

セールスフォースにはいくつかの製品がありますが、それぞれ次のような違いがあります

製品役割
Marketing Cloud(マーケティングクラウド)MA(マーケティングオートメーション)※主にBtoC
Sales Cloud(セールスクラウド)SFA(営業支援)
Commerce Cloud(コマースクラウド)ECプラットフォーム

上の表を見て分かるように、ほとんどがECに紐づく役割を持ちます。マーケティングクラウドは、この中でもマーケティングを自動化するためのツールです。

マーケティングクラウドアカウントエンゲージメント(旧Pardot)との違い

マーケティングクラウドと似た製品に「マーケティングクラウドアカウントエンゲージメント(Marketing Cloud Account Engagement)」(旧Pardot)があります。これらの違いは、主にBtoC向けかBtoB向けかという点です。

対象活用例
マーケティングクラウドBtoC向け主にECにおいて会員登録してくれたユーザーに対し、CRMやセグメントメールなどを効率的に行える
アカウントエンゲージメントBtoB向け営業活動で獲得したリードに対し、ホットリードを検知したり、セグメントメールを配信したりできる

マーケティングクラウドはBtoC向けであるのに対し、アカウントエンゲージメントは商談を必要とするビジネスモデル、つまりはBtoBに適しています

両者は別物であるため、混同しないようにしましょう。

マーケティングクラウドの代表的な機能やできること一覧

マーケティングクラウドは、ひとことでお伝えするとMAツール(メール配信システムやユーザーコミュニケーションツールをより高機能にしたツール)です。

代表的な機能は、以下のとおりです。

  • セグメント作成
  • シナリオ作成
  • メール送信
  • 自社モバイルアプリを通したコミュニケーション

基本的にできることは通常のMAツールと同様ですが、分析周りがやや弱い半面、シナリオ作成周りが強いという特徴を持ちます。そのため、CRMの役割が強いMAツールといえるでしょう。

メールの機能では、ABテストをおこなう、開封率を確認するといったことも可能です。また、Webサイトとモバイルアプリを連携することで、アプリに対するプッシュ通知などのコミュニケーションもできます。

マーケティングクラウドのメリット(独自の特徴)

マーケティングクラウドを導入するメリットは以下の2つがあります。

  • セールスフォース製品同士で連携しやすい
  • 安定性が高い

では、これらについて、解説していきます。

セールスフォース製品同士で連携しやすい

最初に解説したように、セールスフォースが提供している製品は複数あります。

製品役割
Marketing Cloud(マーケティングクラウド)MA(マーケティングオートメーション)※主にBtoC
Sales Cloud(セールスクラウド)SFA(営業支援)
Commerce Cloud(コマースクラウド)ECプラットフォーム

マーケティングクラウドは導入していないものの、コマースクラウドなどほかの製品を導入しているというケースもあるでしょう。その場合、同じセールスフォースの製品なので、顧客データなどを連携し活用しやすいというメリットがあります。

安定性が高い

セールスフォースは歴史が長い老舗企業です。そのため、比較的新しいMAなどのツールに比べて安定性が高いというメリットがあります。

具体的には、「不具合でメールが送れない」といったことがほとんど起こりません。

比較的新しいMAツールは、開発から期間があまり経過していないことで、発見されていない不具合が出てくるといったことも起こります。

実際に利用していても、マーケティングクラウドは不具合が起こりにくいと体感しています。

マーケティングクラウドを扱ううえでのデメリット

マーケティングクラウドを導入するうえで知っておくべき難点として、アメリカ企業であるため解説などの日本語文書が少なく、何かわからないことがあっても解決しにくいという点が挙げられます。

日本語訳の文書もなかにはありますが、翻訳が正しくできていないものが多々あります。

比較的新しいツールは直感的に操作できることを重視して作られる傾向がありますが、マーケティングクラウドは直感的な操作がしにくいため、適切な使い方を理解しておかなければ使いこなせません。

しかし、公式のマニュアルが英語であったり翻訳が正しくなかったりするため、「どうすることが正解なのか」を調べること自体が難しいのです。

つまり、マーケティングクラウド(セールスフォース製品)そのものの扱い方を時間をかけて習熟するか、あらかじめ専門知識を持っている人が扱わなければ、使いこなせないケースが多いのです。企業によっては、セールスフォース専門の人材を採用するほどです。

また、前任者の退職などによって専門知識を有する人材がいなくなり、初歩的な設定すらもできなくなるといったケースもあります。

さらに、もう一つの難点として、高度な設定をしたい際の自由度が低いという点が挙げられます。たとえば、SQLのバージョンの古さや仕様上の問題により、やりたいことができないケースが多々あります。てもらうことがゴールではなく、その後もブロックされないような工夫も必要な点に注意しましょう。

マーケティングクラウドを導入すべき企業・そうでない企業

マーケティングクラウドのメリットとデメリットをまとめると、以下のような企業に向いているといえます。

  • すでにセールスフォースの製品を導入しており、顧客データの連携性を重視する
  • 安定性を非常に重視する

しかし、専門知識が不可欠であり、高度な設定に対する自由度が低いため、上記以外の企業がマーケティングクラウドを導入することは、あまりおすすめできません。

マーケティングクラウドの費用

プラン主な機能料金
パーソナライゼーション・Webとメールのパーソナライゼーション・セグメンテーション、ルールに基づく意思決定、A/B/Nテスト、レポート・商品とコンテンツのレコメンデーション1,080,000円~(税抜)/組織/年
エンゲージメント・メールマーケティング・コンテンツの作成・堅牢な分析150,000円~(税抜)/組織/年
参照:Marketing Cloudソフトウェアの価格 – セールスフォース・ジャパン

マーケティングクラウド導入・活用の注意点

マーケティングクラウドを導入・活用する際の注意点は、次のようなものがあります。

  • 専門知識が必要で、習熟が難しい
  • マーケティングクラウドは顧客情報の蓄積・管理は得意でない
  • CRM施策の立案自体は人がおこなう必要がある
  • メール配信リストが十分にないと費用対効果が低くなる
  • 十分に検討せずに導入すると、使いこなせず費用が無駄になるケースが多い
  • 導入~活用までに時間がかかる

では、これらの注意点について解説していきます。

専門知識が必要で、習熟が難しい

前述したように、マーケティングクラウドは専門知識が必要なものの、マニュアルが理解しにくく習熟が難しいというデメリットがあります。

そのため、はじめてMAを使い「単純なセグメント分けをして基本的なメール配信を行いたい」といった使い方であれば、マーケティングクラウドではなくほかのツールを選ぶのがおすすめです。

外部に頼らずマーケティングクラウドを使いこなしたいのであれば、セールスフォース製品に精通した人材を確保しておいた方がよいでしょう。

マーケティングクラウドは顧客情報の蓄積・管理は得意でない

MAの主な機能として「顧客情報の蓄積(管理)」がよく挙げられます。しかし、マーケティングクラウドの場合はデータ蓄積を目的としておらず、メールを配信したりセグメントを分けたりするために、基幹データなどと連携してそこにあるデータを活用します。

そのため、顧客情報を管理していない状態でマーケティングクラウドを導入しても、それだけで管理できるようになるわけではないことを理解しておきましょう。

CRM施策の立案自体は人がおこなう必要がある

マーケティングクラウドに限らず、MAツールはマーケターが考えたCRMのコミュニケーションを自動化するためのツールです。

導入することで、手作業ではできないレベルの以下のような工程を自動化・効率化できます。

  • 細かなセグメント作成
  • 1to1コミュニケーションを実現するシナリオ作成
  • 各セグメントに対する最適なタイミングでの配信

「どのようにコミュニケーションを取っていくべきか」といった戦略はツールに任せられないため、人が考えなければなりません

たとえば、CRM施策の一環としてセグメントメールの配信をおこなう場合、以下のような作業が必要になります。

  • セグメントを分ける
  • メール配信リストを作成する
  • セグメントごとに最適化されたメールを、最適なタイミングで配信する
  • 開封率を確認し、メールの内容をテストする など

しかし、これらを毎回人の手でおこなっていては非常に手間がかかるため、ツールを活用してそれらを自動化、または効率的に実施していきます。

あくまでもマーケティングクラウドは効率化のためのツールであり、「ツールを導入すればCRM施策ができる」というわけではないことを念頭においておきましょう。

メール配信リストが十分にないと費用対効果が低くなる

メール配信リストが不十分で配信数が少ないと、得られる成果も少なくなります。マーケティングクラウドは高価なMAツールなので、メール配信数が少ない場合は費用対効果も悪くなります。

メール配信リストは十分かも加味して、マーケティングクラウドを導入すべきか判断しましょう。

十分に検討せずに導入すると、使いこなせず費用が無駄になるケースが多い

マーケティングクラウドを導入する際に、「とりあえず導入しておこう」「有名だからマーケティングクラウドにしよう」といったように、十分な検討をせずに決めてしまうと、使いこなせなかったり、無駄なコストをかけてしまったりします

たとえば、細かくセグメント分けせずにメール配信のみをおこなうなら「メール配信システム」でこと足ります。そちらを選ぶ方が操作性もよく、コストも大幅に抑えられるでしょう。

適切なツールを選ぶ方法は、以下の記事でくわしく解説していますので、あわせてご覧ください。

CRMツールとは|機能・導入タイミング・導入手順をわかりやすく解説

導入~活用までに時間がかかる

マーケティングクラウドに限らず、MAツールを導入し活用するまでの期間として、以下が目安になります。

  • スモールスタートであれば1ヵ月ほど
  • 代表的なシナリオを2~3本ほど組んでおこなうのであれば3ヵ月ほど
  • おこないたい施策をすべてやる場合は半年~1年ほど

導入したからといってすぐさま活用し、効果を得られるわけではないので、中長期的に見ていくことが大切です。

マーケティングクラウドを使いこなせなかった場合の4つの対処法

マーケティングクラウドを既に導入しているものの、使いこなせていないという企業もあるでしょう。そのような場合の対処法として、以下の4つが挙げられます。

  • マニュアルを読み時間をかけて学習する
  • セールスフォース人材を採用する
  • リプレイスする
  • プロに相談する

これらの対処法についてくわしく解説していきます。

マニュアルを読み時間をかけて学習する

まずは、公式のマニュアルを確認してみましょう。ただし、前述したようにセールスフォース製品のマニュアルは英語で記載されていたり、日本語訳が適切でなかったりするため、マニュアルを読んでも解決できないケースもあります。

習熟するには時間がかかりますし、仮に使いこなせるようになっても、担当者が退職してしまっては元通りです。そのため以下で説明する他の選択肢も検討してみましょう。

セールスフォース人材を採用する

次に、セールスフォースの製品に精通した人材を採用するという方法もあります。マーケティングクラウドはほかのMAツールよりも操作が難しく、専門知識も必要になるため、使いこなすためにも習熟度が高い担当者を確保しておくことが大切です。

ただし、そのような人材は不足している傾向にあるため、すぐに見つからない可能性もあるでしょう。

リプレイスする

マーケティングクラウドが放置されていたり、まったく使えていなかったりする場合は、別のツールにリプレイスすることも検討しましょう。

使えないツールの利用を継続しても、コストが無駄になってしまいます。例えば、シンプルなメール配信や簡単なセグメントなどをにしか活用していない場合は、より安価なメール配信ツールに切り替えることで、費用対効果が高くなることもあります。

自社に適した使いやすいツールへの変更を考えてみましょう。

プロに相談する

マーケティングクラウドを使いこなせるようにしたい、もしくはリプレイスするツールを選びたい場合、プロに相談することも選択肢の一つです。

相談先としては、主に以下の2種類に分けられます。

  • Salesforceの活用支援に特化した支援サービス
  • CRM全体を俯瞰して支援してもらえるコンサルティングサービス

たとえば、このままセールスフォースを利用し続けたいのであれば、前者の支援サービスを選ぶのも良いでしょう。しかし、現状まったくマーケティングクラウドを使いこなせておらず、リプレイスも視野に入れている場合は、後者のコンサルティングを依頼するのがおすすめです。

CRM全体を支援してくれるコンサルティングであれば、ゴールから逆算してマーケティングクラウドを継続して利用していけるか、もしくはリプレイスした方が効果的にマーケティングを進めていけそうか、どのようなツールが適しているかなども判断してもらえます。

また、そもそも戦略の立て方がわからない、戦略が正しいか判断できないといった場合も、戦略立案を支援してくれるため、適切にCRMを進めていけるようになります。

CRMのコンサルティングについては、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

CRMのコンサルティングとは|支援内容・費用相場・失敗しない選び方を解説

なお弊社mtc.は、CRMに特化したコンサルティングサービスを提供しています。マーケティングクラウドを導入している企業の支援実績も豊富にあり、習熟度の高いコンサルタントが在籍しています。

  • マーケティングクラウドを導入すべきかわからない
  • CRMに力を入れていきたいが、マーケティングクラウドを使いこなせていない
  • 自社に適したツールに切り替えたい

このような課題をお持ちの場合は、ぜひ一度ご相談ください。

マーケティングクラウドの支援事例

最後に、弊社がマーケティングクラウドを含めた支援をおこなった事例を紹介します。

大手化粧品会社のA社では、オンラインでの売上を伸ばす必要がありましたが、ユーザーに対して適切な情報を適切なタイミングで配信できておらず、コミュニケーションを一から作っていかなければならないという課題がありました。

また、支援開始以前からマーケティングクラウドを導入しており、配信をおこなうパートナーは存在していたものの、効果的に活用できていませんでした。

そこで、まずはメール配信の適切なタイミングを定義したうえで、マーケティングクラウドの設定をおこない、顧客情報を細かくセグメント分けしました。

その他にもコミュニケーション戦略の立案やマーケティングクラウドの支援をおこなった結果、EC事業の売上は4年で約3倍となり、過去最高益を達成することができました。

また、従来は店舗が顧客の購買活動における重要なタッチポイントとされていましたが、現在ではWeb上でのタッチポイントが顧客の購買活動において重要であるという認識が、社内で醸成されました。

まとめ

この記事では、マーケティングクラウドの特徴や機能、注意点などについて解説してきました。最後にまとめをご覧ください。

■マーケティングクラウドとほかのセールスフォース製品との違い

Marketing Cloud(マーケティングクラウド)MA(マーケティングオートメーション)※主にBtoC
Sales Cloud(セールスクラウド)SFA(営業支援)
Commerce Cloud(コマースクラウド)ECプラットフォーム
Marketing Cloud Account Engagement(旧Padot)MA(マーケティングオートメーション)※主にBtoB

■メリット・デメリット

メリット・セールスフォース製品同士で連携しやすい・安定性が高い
デメリット・マニュアルなどが英語、もしくは翻訳が正しくない・直感的な操作ができない・高度な設定をしたい際の自由度が低い

■マーケティングクラウド導入・活用の注意点

  • 専門知識が必要で、習熟が難しい
  • マーケティングクラウドは顧客情報の蓄積・管理は得意でない
  • CRM施策の立案自体は人がおこなう必要がある
  • メール配信リストが十分にないと費用対効果が低くなる
  • 十分に検討せずに導入すると、使いこなせず費用が無駄になるケースが多い
  • 導入~活用までに時間がかかる

■マーケティングクラウドを使いこなせない場合の対処法

  • マニュアルを読み時間をかけて学習する
  • セールスフォース人材を採用する
  • リプレイスする
  • プロに相談する

マーケティングクラウドは専門知識が必須のツールであり、コストもかかるため、導入する際には十分に検討することが大切です。自社に適したMAを導入したい場合は、プロに相談することもおすすめします。

CRMでお困りではありませんか?
  • CRM施策を実施したいが、何から実施していいのかがわからない
  • CRMの戦略はできているが、具体施策に落とし込めない
  • CRMに対して課題は持っているが、社内にノウハウもリソースもない

もしこれらの課題をお持ちの方がいらっしゃいましたら、大手化粧品会社をはじめ創業から約7年に渡り一貫してCRM支援に携わってきた私たちmtc.にまずは相談してみませんか?

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