2025.02.25
CRM

デザインリサーチ:精度の高い施策アイデアを立案するために

CEO

岡崎 徹

CEO 岡崎 徹

なぜやるのか:担当者の主観ベースではなく、顧客のファクトに基づいた潜在的ニーズを把握することが重要

マーケティング施策において重要なことは、お客様の潜在的ニーズを発見し、その潜在的ニーズに正しくアプローチして、お客様の態度変容を促すことです。

そこで顧客像をよりリアルに理解するために、ペルソナやカスタマージャーニーマップを策定し、それらの情報からマーケティング施策を立案している企業は多いでしょう。しかし、一般的なペルソナは “履歴書” のような形で、架空の人物の年齢や職業、ライフスタイルなどがまとめられていますが、それらの情報ではペルソナの潜在的ニーズは見えてきません。

その結果、現場担当者の主観ベースでペルソナの潜在的ニーズを定め、マーケティング施策の立案を行うといったことが往々にして行われています

当然ながら「顧客はきっと、これを求めているだろう」といった主観ベースで施策のアイデア出しを行ったとしても、実際の顧客の潜在的ニーズに紐づいていないため、施策精度は低いものとなってしまいます。

いかにファクトベースで、実際の顧客の潜在的ニーズを発見するかが大切で、そこで用いられるのがデザインリサーチという手法です。

デザインリサーチとは、一般的には潜在ニーズからプロトタイプをつくり、改善していくといった新規プロダクト開発の際に顧客の潜在ニーズを調査する手法で、インタビューやアンケート、観察などの方法で進めていきます。

たとえば「子育てママ」をターゲットとしたECの場合、主観ベースでペルソナのニーズを「子育てを楽しみたい」と定めていても、実際にデザインリサーチの手法で調査を進めていくと、実際には「子育てがわからない」というインサイトを抱えており、「子育ての不安を解消したい」ということが実際の潜在的ニーズとしてあるということがわかります。

「子育てを楽しみたい」というニーズと「子育ての不安を解消したい」というニーズでは、取るべきアプローチはまったく異なります。

このように、精度の高いマーケティング施策を立案する上で、正しく潜在的ニーズを把握することが非常に重要になるのです。

どうやるのか:デプスインタビューを通じて、本音でも建前でもない、心の声を引き出していく

デザインリサーチの方法はいくつかあり、そのうちのひとつがインタビュー対象者と1対1で行うデプスインタビューの実施です。最低3〜5人程度、多くとも10人程度の対象者にインタビューを行います。

なお、インタビューでは、調査対象者が無意識的にインタビュアーに対して有益な情報を返そうとしてしまいがちです。また、調査対象者自身も気づいていないインサイトを発見し、本当の潜在的ニーズを把握するためには、本音でも建前でもない、調査対象者の「心の声」をいかに引き出すかが重要です。

たとえば、「3人で一緒にランチに行きましょう、何が食べたいですか?」と同僚に誘われたときに、 “相手が食べたいであろうものを答える” という建前の回答もあれば、 “素直に自分が食べたいものを答える” という本音の回答があるでしょう。
しかし、実際には “3人では食べたくない” といった答えづらい、心の声の回答を持っていたりするわけです。そして、その答えづらい心の声こそが、本当の潜在ニーズであり、デプスインタビューで引き出すべき事項になります。

また、デプスインタビューを実施していく上で最も大切になるのが、適切な調査票の作成と適切なインタビューの実施です。特に実際のインタビューは、インタビュアーの技量に大きく左右されるため、デプスインタビューを得意とする専門家に依頼するのが望ましいでしょう。

なお、インタビューでは様々な発話がなされるため、それらの発話の中から何が潜在的ニーズであるかを見つけ出していくために用いる手法の一つがKJ法という分析手法です。デザインリサーチではよく用いられる手法になります。

KJ法とは、文化人類学者である川喜田二郎氏によって考案された手法で、1つひとつの情報をカード(付箋など)に記し、そのカードを並べ変えたりグルーピングしたりすることで、情報を整理していきます。

そうして整理していった情報をもとに、実際に抱えている感情を記したものを私たちは多次元ペルソナ®︎として活用しています。子育てママのペルソナとして過去に実際につくったものが下記図のもので、堀の外側を「表の感情」、堀の内側を「裏の感情」として分けています。

表の感情としてはキラキラした “子育てを楽しんでいるママ” としての感情がある一方、裏の感情は子育てに悩んでいる感情、さらには “本当の裏” として一人の女性としての感情があるということを視覚的にわかるように落とし込んでいます。

mtc.が提供する『多次元ペルソナ®︎』の一例:多次元ペルソナ®︎とは、年齢や居住地などのプロフィールではなく、「ターゲットとなる生活者がどのような気持ちや考え方を持っているか」ににフォーカスを当てて作成されるもの

そして、施策はこれらの感情に訴求していくべきであり、施策立案においてはこのペルソナ情報をベースに進めていきます。ただし、この時点では立案した施策は立案者の主観が含まれているため、より施策精度を高めていくためには小さなグループを対象に施策をトライアルし、結果を検証した上で本格展開を行っていくことも大切です。

※本記事でいうデプスインタビューは専門的なアプローチを採用しており、一般的な調査票に基づいて行うものとは異なる手法になります

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