「EC売上の半分がWeb接客経由で生まれている」店舗運営が中心だったPLAZAのEC事業成長の裏側

2024.07.30
株式会社PLAZA
業種:小売
記事タイトル

1966年にスタートして以来、常に新しい商品や他所にないモノをご紹介し、独自の視点とスタイルで情報発信を続けてきたライフスタイルストア『PLAZA』を運営する株式会社スタイリングライフ・ホールディングス。

同社ではEC事業を伸ばしていく上でデジタル領域の知見やリソースが不足していることが課題としてあり、このたびmtc.では同社のメールマーケティングおよびKARTE導入によるWeb接客を支援させていただきました。

取り組み以前は商品の在庫確保も店舗優先であったりと、社内ではECの存在感が大きくなかったと言います。そんなEC事業がいかにして社内から注目されるようになっていったのか ―― 。そこで今回は同社 カンパニーエグゼクティブを務める岡芹さま、EC・デジタルサービス部部長を務める中野さま、そして本プロジェクトを担当したmtc. 川村がこれまでの取り組みを振り返りました。

INDEX目次

デジタル領域の知見やリソース不足が課題に。“仲間”として一緒に考え伴走してくれるパートナーを探していた

川村:このたびmtc.では御社のCRM領域を支援させていただきました。あらためてご相談いただいた背景として、どのような課題感を抱えていたのか教えてください。

岡芹:デジタルがここまで普及している昨今において、当然ながらお客様の購買体験はオフラインだけとは限りません。そのため、当社でもOMO(Online Merges with Offline)を推進していこうといったことは以前から社内でも掲げられていたものの、事業自体がリアル店舗を中心に動いており、デジタルの施策に注力できていませんでした。

そのため、何かデジタルでの取り組みをしようにも、どうしても店舗での施策が優先されてしまったり、また社員もずっと店舗運営に携わってきたメンバーが多く、ノウハウやリソース含め、デジタル領域の施策を展開していく体制が整っていなかったことが課題としてありました。

当然ながら事業拡大のためには店舗だけでなく、ECの売上を上げていくことも重要ですし、PLAZAというブランドを店舗に行かないと体験できないものにするのではなく、オンラインで24時間365日体験できるようにしていきたいと思っています。そうした想いから本気でデジタル領域を推進していこうと思ったときに、自社だけでは限界があると感じ、組織成長含めて共に成果に向けて伴走してくれるパートナーを探していたのが今回ご相談させていただいたキッカケでした。

株式会社スタイリングライフホールディングスプラザスタイルカンパニー
カンパニーエグゼクティブ 岡芹さま

川村:様々な支援会社がある中、どのような点を重視して比較検討されていたのでしょうか? また、最終的にmtc.を選んでいただいた理由を教えてください。

岡芹:実は当時私は入社して1年も経っておらず、デジタル領域へ会社全体が注力していくために、どのような組織で運営していくか考えていました。

また、漠然とこうやって進めていけばこうなっていくだろうといった成長イメージはあったものの、具体的に何をどの順序で進めていくべきかが見えておらず、いろいろと相談しながら、同じ仲間として伴走してくれるパートナーを探していたんですね。

また、実際に施策を進めていく中で、やりながら方向転換することは大いに有り得るわけで、そのような状況下でも真摯に向き合って進めてくれるかどうかが重要です。
そこで検討を進めていたのが、mtc.です。もちろん比較検討は行っていましたが、mtc.とは前職でお仕事をご一緒していたこともあり、mtc.なら何をすべきかを一緒に考え、優先順位をつけて伴走してくれると期待できたことが依頼の決め手でした。成果のためなら何でもやるといったスタイルの会社だと感じていたことも決め手の一つですね。

インフラや体制に合わせて施策を展開。PLAZAの店舗接客をWeb接客でも実現できるよう調整していった

川村:今回のプロジェクトでは、まずはできるところからはじめていこうということで、御社のメールマーケティングおよびKARTEの導入・運用を支援させていただきました。メールマーケティングに関しては、コストをかけずに売上に直結しやすい施策であったため、配信数を増やしていくことをご提案させていただきました。また、戦略的に施策を実行していくためのノウハウ不足が課題であるとも感じていたこともあり、将来的には自走できる体制を目指して進めていく方針をお伝えさせていただきましたね。メールマーケティング領域を支援させていただく中で、気づきや学びは何かありましたか?

中野:以前までメール施策はセグメント配信やパーソナライズといったことに対応できておらず、リスト全体に対して配信するのみしか行えていませんでした。そのため、受け手視点に立ち、「この商品を買ってくれた人には、こういった情報が喜ばれるだろう」といったコミュニケーションの基礎的なところから指針を示していただけたことは非常に多くの学びがありました

また、過去に様々な施策を実施してきた事例があればいいのでしょうが、弊社の場合はデジタル領域の取り組みをそもそもこれまでほぼやっていなかったに等しく、何か施策をした際に出た結果が果たして良いものなのか、悪いものなのか、自分たちでは良し悪しがつけずにいました。そのため、mtc.からは業界的にこの数字はどうであるかといったことを教えていただいたりと、我々が持っていない知識や知見を共有いただけたことは本当に助かりました。

株式会社スタイリングライフホールディングス プラザスタイルカンパニー
EC・デジタルサービス部 部長 中野さま

川村:今回理想のWeb接客を実現するために、KARTEの導入も支援させていただきました。もともと別のツールを使われていましたが、様々な設定がブラックボックス化していたため、まずはKARTEで同じことを再現できるよう移管するところからスタートしていきました。

また、オフラインとオンラインとの垣根を限りなく無くしていきたいという当初からご要望をいただいていた内容を踏まえ、Web接客を用いてどのようにしてPLAZAの店舗接客に近づけていくべきか、を考え続けていたんですよね。そのため、実はKARTE実装前に何度か店舗に足を運ばせていただいたこともありました。

そこで感じたのが、PLAZAならではのお客様との距離感です。たとえば、アパレルショップであれば「サイズはどうですか?」などと店員から積極的に声をかけられることも珍しくありません。その点、PLAZAは、雑貨もあればコスメもあり、アパレル商品と多様な商材を扱っていますが、そのようないわゆる積極的に商品を勧めるような声かけがないなと。

そこでWeb接客においてもそのような “PLAZAらしい接客” を実現できるよう、ポップアップ表示をどのくらいの頻度で出すかといった細部の設計・調整にもこだわりました。

また、これは多くの企業に当てはまることですが、過去に成果が上がっていたいわゆる鉄板施策でも、あらためて調査すると実はあまり結果に繋がっていなかったということは珍しくありません。そこでこれまでの常識を疑い、あらためて施策の見直しを行うなど、優先順位をつけながら細かく改善を進めていきました。取り組みを振り返ってみて、いかがですか?

中野:こうした取り組みはどうしても任せっぱなしになりがちですが、mtc.は良い意味で我々を甘やかさずに、自分たちで考えるよう仕向けてくださいました。そのため、「PLAZAの中ではどう考えていますか?」といった質問をいただくと、常にハッとさせられましたし、そうしたコミュニケーションを通じて主体的に考えていくマインドへと変わり、組織の成長に繋がっていったと感じています。

そして、豊富な成功事例に基づいた提案にも助けられました。たとえば、よくあるカートボタンの追従バナーを出すという施策に関しても、実は当初は懐疑的だったんですよね。しかし、プロの視点から見解をもらったり成功事例を共有してもらえたことで、実際に実装を進めることになりました。結果的に成果に繋がり、とても嬉しく思っています。

岡芹:また、これまでの各データをお渡しして分析いただき、そこからいまやっていることでもっと伸ばせること、やろうと思っていたけどできないことなどが「見える化」していきました。

そこから何をすべきかを整理いただき、実際にメールマーケティングからはじまって次にKARTEを導入していくなど、我々のインフラ状況や体制に合わせて優先順位を決め、事業成長の前進に伴走いただいけたと思っています。

メール売上は前年比200%を実現。現場が主体的に考えられるようになり、社内のECに対する見方も変わってきている

川村:あらためてプロジェクトを通じて、定量的な成果として挙げられることがあれば教えてください。

中野:まずメールマーケティングに関しては、前年比でメール経由の売上が最大200%と確実な成長を実感しています。またKARTEを導入以降、ECサイトでの売上の半分近くがWeb接客による購買から生まれており、寄与率は極めて高い状況です。

また、現場メンバーのデジタルマーケティングに関する知見が高まっていることも成果の一つだと感じています。今回の取り組みを通じて、「私の売り場では、こういったことをやりたい」など現場が主体的に意見を出すようになりました。

そして「2回目の購入が少ない」「カテゴリーを跨いだ購入を増やすにはどうするべきか」など、メンバー間に共通言語が生まれ、デジタルマーケティングの理解があるからこそできるコミュニケーションができていると実感しています。

岡芹:やはり事業会社として、自分たちでできることを増やし、自走できる状態を目指していくことが重要です。そうした中、mtc.は課題に対して答えだけを提供するのではなく、考える機会を与えてくれたり、自走できるように支援いただけたことは非常に良かったです。

実際にmtc.との取り組みを通じて、現場では定量的に判断することが重要だというマインドに変わっています。今後システム自体を入れ替え、より定量データを収集・分析できるようになるため、大きく花を咲かせていくための土台が完成したと感じています。

川村:今回のプロジェクトを通じて感じているのが、自社ブランドに対するロイヤリティがとても高いということです。関わって下さったみなさんが、店舗での業務経験があることや新卒入社で入られている方も多かったため、そうした素地があるのとないのとでは、事業成長の余地が大きく変わってくると思いました。

たとえデジタルマーケティングを得意とする人材を集めたとしても、自社商品への愛がないと、コミュニケーションの部分で大事なことを見落としてしまいがちです。そのため、「自社のブランドを語れない」よりも「やり方がわからない」のほうがまだ良いわけで、自社商品を語れるみなさんがデジタルマーケティングの知見を身に着けていくことで、よりお客様に価値ある体験をデジタル上でも提供できるようになっていくと思っています。取り組みについて、社内から何か反響はありましたか?

mtc. 川村

中野:商品部からの見方は確実に変わってきていると感じています。これまではECサイトは一つの “店舗” といった認識があり、売れ筋商品の在庫も売れる店舗が優先されるなど、以前まではECの立場は社内でそう高くはありませんでしたし、ECチームは花形のポジションからは程遠い存在でした。

しかし、取り組みを通じて売上を伸ばしていったことで注目されるようになり、商品の数量の調整がしやすくなったり、商品部も協力的になったりと、EC部門に対する見方が変わってきています

実際にオフィスでも、ECチームを訪ねてくる人というのは取り組み以降圧倒的に増えていて、社内でのEC事業の存在感が増してきているなとも実感しています。

川村:最後に、御社では今後どのようにEC事業を展開していく予定なのか展望をお聞かせください。

中野:システムの都合上ポイント還元がECでは対象外になっていたりと、現在は店舗とECで連携できていないことも多くあります。しかしECで購入した商品を店舗で受け取れるようにするなど、今後よりOMOを推進していき、店舗とECの融合を実現していきたいと考えています。

そして店舗とECをシームレスに行き来してもらうことで、オンライン、オフライン関係なく、 “PLAZA” という一つのブランドとして認知いただき、お客様の体験価値を向上していきたいと思っています。

岡芹:ECは店舗と違って商品数に制限なく、利便性も高いため、まずはECを各店舗の中で一番の売り場にしていきたいと思っています。

また、日常の心拍数を上げるという意味で、PLAZAのタグラインを「HEARTS UP!」へと刷新しました。お客様の心はずむ瞬間を増やせるよう、デジタル上でどういった体験があるべきか、すべてのタッチポイントでHEARTS UP!を実現するために何ができるのかを突き詰めていき、提供価値を高めていければと考えています。

川村:KARTEを導入してWeb接客をできるようにしても、どのアクションがどれくらいの収益に繋がったかは見えづらい部分もありますが、何をしたらどのような成果に繋がったかを定量的に判断できなければ、次のアクションプランを立てることはできません。

そこで今回、見るべき数字がしっかりと見えるようにするというのを心がけてきましたし、みなさんが定量的に判断していくマインドに変化されていったのは、私自身とても嬉しく思っています。

そして今後EC事業が売上を伸ばしていき、チームの皆さんが「ECチームでよかった」と誇りを持てるよう、また自走できる組織を目指して、引き続き支援させていただければと思います。本日はありがとうございました!

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